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2020 年度 実施状況報告書

放射線治療による味覚障害の本態と回復過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K18807
研究機関広島大学

研究代表者

小西 勝  広島大学, 病院(歯), 講師 (60537447)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード味覚障害 / 放射線治療 / 有害事象
研究実績の概要

頭頸部癌に対する放射線治療による有害事象の一つである味覚障害の本態と回復過程に関連する機序を明らかにすることを目的として研究を行っている。本研究では、特に舌癌に対して組織内照射を受ける患者を研究対象者としているが、COVID-19の世界的な流行の影響を受け、患者数が減少し、加えて、外国からの輸入に依存している放射線線源が一時入手でなくなり研究登録者数が予定よりも下回っている。
今年度は、舌癌で放射線治療を受けた患者2名を新たに研究対象者として登録し、治療前後で味覚変化を観察した。1例目では、治療後328日目まで観察している。味覚全体のvisual analogue scale (VAS;0-10)値は、治療前に舌の両側とも10であったが、治療後約1か月で、病変側で3.6、健側で6.6まで低下した。その後、両側とも値は上昇し、病変側は約5か月後に9.1まで回復し、その後9以上を維持している。健側は約3か月後には10まで回復し、その後も維持している。2例目では、治療後223日目まで観察している。味覚全体のVAS値は、治療前に舌の両側とも10であったが、治療後約1か月で、病変側で0.3、健側で5.3まで低下した。約2か月後には上昇したが、約3か月後に再度低下した。これは放射線治療による舌粘膜炎の再燃によるものであった。その後、両側とも値は上昇し、病変側は約6か月後には9.7まで回復した。健側は約4か月後には8.2まで上昇し、約6か月後には10に回復した。今年度の研究結果から、放射線治療後概ね6か月程度で味覚は回復傾向を示すことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2020年度の研究登録者数を過去の放射線治療実績をもとに10名程度を予定していたが、COVID-19流行の影響を受け、患者数が減少し、加えて外国からの輸入に依存していた放射線線源の供給が一時停止したため、2020年度の登録者数は2名であった。登録者数は予定よりも少ない状況ではあるが、2名の対象者については、味覚に関するデータをほぼ予定通り取得できている。

今後の研究の推進方策

研究計画時に予想もできなかったCOVID-19の世界的な流行の影響を受け、研究登録者数は予定よりも大幅に下回ったため、今年度も研究計画の登録者数10名に達するように引き続き新規登録を行う。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の影響で予定していた学会発表が中止となり、2020年度の使用額が当初の予定より少なくなったために次年度使用額が生じた。また、COVID-19の影響で対象症例数も少なかったため、研究に使用する試薬や物品が少なく、新たに購入する額が予定より下回ったため。今年度の実験試薬、物品の購入や学会発表、論文発表のため使用する予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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