研究課題/領域番号 |
20K18809
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
岩井 浩明 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (20847214)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヘリコバクターピロリ菌 / 歯髄 / 歯垢 / う蝕 / 歯周病 |
研究実績の概要 |
Helicobacter pylori菌(H. pylori)は微好気性グラム陰性螺旋状桿菌であり、慢性胃炎や十二指腸潰瘍、胃がんの原因となる。H. pyloriの胃内への感染経路として、口腔との関連が想定されるが、その詳細は明らかではない。本研究の目的はPCR法を用いて、口腔内のH. pylori保有と全身感染および生活習慣との関連を探索し、その予防につながる因子を明らかにすることである。 令和2年4月~令和3年3月にかけて京都府立医科大学附属病院歯科外来を受診した成人患者の内、歯髄除去又は抜歯処置が適用となった108名(男性 63人、女性 45人:平均年齢 53.0 ± 10.1歳)に対して歯髄、歯垢、唾液、尿サンプルをPCR法にてH. pylori遺伝子保有の有無を同定し、さらに歯髄除去又は抜歯処置理由として歯科臨床診断を歯周病、齲蝕、齲蝕+歯周病、破折、智歯周囲炎に分類した。また、生活習慣因子として自記式質問票を聴取した。 サンプル中のH. pylori遺伝子保有率は、歯髄12%(13/108)、歯垢9%(10/108)、唾液0%(0/108)、尿19%(20/108)であった。歯髄中H. pylori遺伝子保有者のうち尿中H. pylori遺伝子保有者の割合は92%(12/13)、歯垢中H. pylori遺伝子保有者のうち尿中H. pylori遺伝子保有者の割合は90%(9/10)であり、口腔内はH. pyloriの感染巣となる可能性があることが示唆された。また、歯髄中にH. pylori遺伝子を保有する歯牙は、歯科臨床診断として重度歯周病および重度う蝕に有意に高い割合の罹患を認めた。(p< 0.01) その他、生活習慣因子との関連等については現在解析中であり、今後検体数を増やすとともに検討を加えたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標のサンプル数にまだ及ばないものの、約2/3(210サンプル)は、既に被験者より採取している。 今後、PCRによるピロリ遺伝子の解析および自記式質問票の健康および生活習慣因子との関連の解析を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
収集サンプルのPCR解析、質問票の聴取項目の入力、関連の解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
サンプルデータの解析、論文作製が遅れている。すでに被験者からのサンプル収集は概ね終了しており、今年度はデータ解析・論文投稿を行っていく。
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