研究課題/領域番号 |
20K18810
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
大久保 茂子 昭和大学, 医学部, 助教 (00769846)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯科技工士 / レアメタル / KL-6 / 個人曝露測定 / 健康調査 / ジルコニウム / 呼吸器症状 / 血清インジウム濃度 |
研究実績の概要 |
歯科技工士のじん肺(肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病)の症例報告が散見されており、これは歯科技工士の業務である研磨粉じん、あるいは高熱により蒸発した金属ヒュームを吸入することにより発生する可能性が指摘されている。しかしながら歯科技工士の職業性曝露による健康影響についての報告は少なく、さらに業務上使用されているレアメタルの生体影響に関しては不明な点が多い。そこで歯科技工作業に伴う曝露実態の把握と肺胞上皮細胞への曝露影響を明らかにすることを本研究の目的とし、歯科技工物に含まれるジルコニウム、インジウムを中心としたレアメタルの職業性曝露による健康影響を調査する。令和2年度は関東エリアの中小技工所に勤務する歯科技工士42 名をリクルートし、時間断面調査を実施した。調査項目は日本語版ATS-DLD呼吸器症状標準質問票を用いた呼吸器自覚症状、喫煙歴、就労年数、取り扱う歯科材料の種類および血清インジウムや他の金属濃度、血清KL-6、肺サーファクタントプロテインD (SP-D) とした。血清中金属濃度は、酸添加マイクロウェーブ分解後に誘導結合プラズマ質量分析計 (ICP-MS) にて測定した。呼吸器の自覚症状については、鼻づまり、咳、くしゃみが多数であった。使用金属については金と銀が最も多く、ついでパラジウムが多かった。血清金属濃度の測定に関しては、分析方法を従来の方法に準じて本学の分析機器に最適化することができた。その結果、血清インジウムの定量下限は0.1 ng/ml以下であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯科技工所に勤務する歯科技工士および職員の目標対象者数を年間30例以上と設定したが、初年度はそれを上回る42名をリクルートすることができた。また取り扱い歯科技工物および技工歴に関する調査票の作成も完了し、歯科技工士業務の実態および健康影響等のデータを収集できている。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り今年度は概ね予定通りに遂行できたが、新型コロナウイルス感染拡大により協力予定であった施設での調査が延期されている。次年度の計画の推進の難しさが懸念される。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、調査が年度末となったため解析用のPC購入が次年度となった。また、旅費も予定していた学会がオンライン開催となったため現地へ移動する必要がなくなり次年度使用額が生じた。
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