研究課題/領域番号 |
20K18811
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
石川 昂 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (10772288)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 死後経過時間 / 水中死体 / エナメル質 / 淡水 / 法歯学 / 身元確認 |
研究実績の概要 |
本研究では、これまで着目されていなかった法歯学的な見地からエナメル質表面への淡水含有物の経時的な付着物の変化を解析する事により、水中死体に対する死後経過時間推定法の開発を目指す。海水中から発見された身元不明死体を対象とした死後経過時間の推定法の開発はすでに報告を行っている。本研究は、淡水を対象とした推定方法の開発である。 異状死体に対する死後経過時間の推定方法に関する研究は古くから行われており、その手法は現在もなお法医学分野の現場で利用されている。しかし、その多くが軟組織の腐敗程度を指標とした評価方法であり、軟組織の大部分が高度に腐敗あるいは欠失した場合の死後経過時間の有効な推定方法は極めて少なく、国内外で新たな推定法の開発が期待されている。 水中死体は死後、死蝋化するために詳細な死後経過時間を求める事が極めて困難である。さらに、死亡場所の特定や個人識別のため入水地点の特定が鑑定上、必要不可欠な項目であり、入水時から発見時までの水中に浮遊していた時間を割り出す事が極めて重要になる。 初年度は年間の水質変化による含有成分の違いを月別に検討し、短時間浸漬による付着物料の変化を検討する予定であったが、新型コロナウィルス感染症による試料採取や実験に制限がかかった。そのため完遂率は予定の50%程度である。 現段階での結果は、月別の水質含有成分に明らかな規則的変化は認められなかった。これは海水を用いた研究でも同様の結果であった。また短時間の浸漬によるエナメル質表面への付着物においても、有意な増加は認められなかった。これについても、海水を用いた研究において同様な結果を示したことから、浸漬時間が延長するにしたがい増加するものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症のため、当該年度の大部分で実験施設の使用自粛と外出禁止等の処置がとられたため。
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今後の研究の推進方策 |
実験の進捗程度は極めて遅れている状態である。今後はまず本年度に行うことができなかった月別の水質解析を行うことから始める。その後、当初の計画通り、長期浸漬サンプルの定量分析を継続する。また季節別の淡水成分の変遷を把握するための月別に採水した淡水成分の分析も継続して行う。 これらの研究項目を行うことにより、全てのデータの収集を完了する事ができる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の流行のため、使用物品の入手困難及び実験の制限等があったため次年度に繰り越す。 使用方法は、研究計画どうりで変更はない。
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