研究課題
若手研究
本研究では淡水に浸漬した遺体を想定しエナメル質付着物を分析することで、水中浸漬時間の推定のために回帰式を算出し、良好な結果を導き出した。海水中の遺体を想定した同様の回帰式はすでに報告されており、これにより2種の水成分に対応した推定方法を確立することが出来た。さまざまな死後経過時間の推定法がある中で、法歯学的手法の高い有用性を改めて示すことが出来た。
法歯学
これまでの主な死後経過時間の推定方法は、高度に腐敗あるいは白骨状態になると急激にその能力は失われる。さらに、直腸温度による手法等を除くとそのほとんどは鑑定人の視覚的な判断に大きく影響するため、各鑑定人による鑑定結果に誤差が生じる事も否定出来ない。それに対し本研究は、付着した水含有物の定量的分析という視覚的な判断を排除した方法の開発を目的とした。この方法を確立する事により、鑑定人による誤差を最小限に抑え、水中浸漬時間推定法の一助になる上、迅速な個人識別につながるものと期待出来る。