研究実績の概要 |
本研究は, 大規模災害時に生じる身元確認作業において必要とされる遺体の歯科所見採得の際に, エックス線を必要としない非破壊装置(超音波, 近赤外線)を用いて, 補綴物および修復物の材質を計測し,その結果を人工知能(AI)を用いて材質を特定するまでのプロセスを自動化することを目的としている. 本研究を進めるにあたり,歯科所見において目視による判別が困難であるセラミックス,ジルコニア,レジン等の歯冠色材料を超音波装置および近赤外線装置で計測し,得られたデータを基礎的に検討する必要がある.その理由は,超音波装置による歯冠色材料の音速の報告は皆無であるため,その波形を解析し,定量化することによって得られた材料間の差を検討する必要があるからである. 供試した試料は歯科用セラミックス.歯科用ジルコニア,CAD/CAM冠用レジンブロックを超音波装置を用いてパルスエコー法によって音速を計測した.さらに各材料の波形を解析し,定量化した. 実験の結果,歯科用ジルコニアの音速は7063.5m/s,歯科用セラミックスの音速は5908.7m/s,CAD/CAMブロックの音速は3839.3m/sであった.これらは材料間で明らかな差が認められた.波形もまた,そのピーク波形と反射第1波の遅延時間は材料間で明らかな差が認められた. 一方で,AI用ワークステーションを用い,人工知能による波形解析のプログラムミングを開始した.学習用データセットとして,超音波装置から得られた波形を.pngファイルに変換し,画像化したものを用いた.開発用言語はPython3.6を用い,アルゴリズムはYOLO v2を用いた.
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