研究課題/領域番号 |
20K18813
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
田中 公美 (五十嵐公美) 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (40847612)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 在宅歯科医療 / 要介護高齢者 / 生活機能 / 口腔機能 / 摂食嚥下機能 / 予後 |
研究実績の概要 |
本研究は、医科訪問診療が開始された高齢者に対して包括的な口腔機能評価と必要な歯科医療介入を行うことで、生活環境と口腔機能との関連、歯科医療介入の影響、予後との関連を把握することを目的としている。本研究課題は令和2年度から令和5年度までの4か年計画であり、今年度はその一年目であった。すでにパイロット調査で得られていた対象者および新規対象者計69名(男性33名、女性36名、平均85.2±7.1歳)のベースライン調査、分析を行った。診療移行は60名、Bathel Indexは平均50.1±31.7点であった。すでに訪問歯科診療を受けていた者は60名中4名(6.7%)であり、歯科未受診期間は1か月-1年以内が22名(36.7%)、1年-3年が14名(23.3%)、3年以上が20名(33.3%)であった。う蝕による残根を有する者が33名(55.0%)、脱落リスクのある動揺歯を有する者が13名(21.7%)存在した。未受診期間と口腔内環境を示すOral Health Assessment Tool (OHAT)の各項目には、有意な関連は認めなかった。 歯科治療内容としては、抜歯19名(31.7%)、う蝕治療5名(8.3%)、義歯新製13名(21.7%)、義歯調整20名(33.3%)、歯周治療31名(51.7%)、摂食嚥下リハビリテーション31名(51.7%)を行った(重複含む)。 以上より、医科訪問診療開始時点で対象者の9割以上の歯科受診が途切れていた。抜歯を要する歯や義歯の不適合を有する者も多く、医療的ニーズが高まった時点での在宅療養患者において、口腔内環境の悪化と咀嚼機能の低下が問題になっている可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、パイロット調査から月当たり5-6名の対象者がリクルートされる予定であった。しかし、新型コロナウイルスの影響により訪問による歯科医療介入を拒否されるケースや、介入開始となっても中断となるケースが生じたため、新規対象者は予定人数に届かなかった。協力者の医師やその他医療職、介護職と連携を図り、拒否や不可避の脱落が最小限に抑えられるよう調整を行っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き新規対象者のデータ採取と、現在開始している対象者の半年後の時期を目安にした追跡調査の継続を予定する。追跡調査にあたっては、入院、施設入所等により予後不明となりやすいため、医療介護職との連携を図り調査し、具体的な歯科医療介入の影響や予後との関連を把握する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた人数のデータ採取が行えなかったため使用予定額に達しなかった。今年度もデータ採取に使用する物品費、経費として使用する。今年度は対象者が増えることが期待され、また追跡調査の結果も出るため、成果発表に向けての書籍の購入、論文投稿費などでの使用も計画している。
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