研究課題/領域番号 |
20K18815
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
曽我部 薫 鶴見大学, 歯学部, 臨床助手 (40758489)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | プロバイオティクス / う蝕原性細菌 / カンジダ属 / 乳酸菌 |
研究実績の概要 |
日和見感染菌は加齢や免疫能の低下などに伴い増加する事が知られている。日和見感染菌の中には全身疾患を引き起こすものや、一度発症すると難治性のものも少なくない。日和見感染症の予防には、プロバイオティクスなど患者に負担の少ない方法による細菌叢の改善が必要がある。プロバイオティクスは、「宿主の健康に有益な作用をもたらす微生物」と定義されており、経口摂取された際に生体に有益な作用を及ぼすことが知られている。 本研究の目的はプロバイオティクス候補菌である乳酸菌Lactobacillus crispatus(L. crispatus)やLactobacillus gasseri(L. gasseri)を用いて、日和見感染菌であるCandida albicans(C. albicans)およびCandida glabrata(C. glabrata)に対する抗菌活性やう蝕原性細菌であるStreptococcus mutans(S. mutans)とStreptococcus sobrinus(S. sobrinus)に対する抗菌活性を検証すること、C. albicansおよびC. glabrataとS. mutansおよびS. sobrinusとの相互作用へのプロバイオティクス候補菌の効果を検証することである。 本年度は、L. crispatusおよびL. gasseriによるC. glabrata、C. albicans、S. mutans、S. sobrinusに対するプロバイオティクス効果を拮抗試験で検証を行った。さらにリアルタイム細胞アナライザーを用いてL. crispatusとL. gaseeriの各菌の相互作用の検証を行った。その結果、L. crispatusがC. albicansとS. mutansに抗菌活性を示し、さらにバイオフィルム形成を阻害している事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までに、乳酸菌L. crispatusのC. albicansおよびS. mutansへの拮抗試験による抗菌性の確認およびバイオフィルム形成の抑制を確認している。しかし、新型コロナウイルスの蔓延による緊急事態宣言や各菌種および試薬の納入遅延があったこと、試薬の活性濃度の確立に関して時間を費やしたため、抗菌活性試験(Radial diffusion assay)に関しては、当初の予定よりやや遅れている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、乳酸菌L. crispatusおよびL. gasseriによるC. glabrata、C. albicans、S. mutans、S. sobrinusに対するプロバイオティクス効果を抗菌活性試験(Radial diffusion assay)により行い、リアルタイム細胞アナライザー(xCELLigence)を用いたC. albicansおよびC. glabrataとS. mutansおよびS. sobrinusのバイオフィルム形成における相互作用の検討と実験データの解析を行う予定である。その後、C. albicansおよびC. glabrataとS. mutansおよびS. sobrinusの相互作用およびエナメル質脱灰能の人工口腔装置による検証を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス蔓延による緊急事態宣言の発令に伴う菌株および試薬の納入遅延が発生し、実験の遅れが生じた。そのため、当初の予定よりも試薬やデータ解析等に使用予定であった助成金に未使用が生じた。また、学会参加による情報収集も予定していたが、コロナウイルス蔓延により、学会がWEB開催になり、旅費に未使用額が生じた。 令和3年度は、抗菌活性測定や、データ解析を行う予定である。
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