研究課題/領域番号 |
20K18817
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
小川 美香 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50846417)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯科恐怖症 / 感覚処理パターン / アレキシサイミア / 破局的思考 / 共分散構造分析 / 項目反応理論 / Dental anxiety / Sensory processing |
研究実績の概要 |
歯科恐怖度と感覚処理パターンおよび歯科恐怖に関連する心理的因子の関係を検討するため、インターネット上でモニターを募集し、前年度は213名より有効回答を得ていた。共分散構造分析の結果、感覚処理パターンと破局的思考は直接的に歯科恐怖度と関連していたが、無感情症傾向は感覚処理パターンと破局的思考を介して間接的に歯科恐怖度に関連していることが示唆された。本年度は、前年度明らかになった傾向に性別による違いがあるか検討するため、追加のアンケート調査を行い215名から有効な回答を得た(計428名)。 解析を行うにあたり統計の専門家にコンサルトを行ったところ、共分散構造分析を行うためには質問紙の因子構造が明確になっている必要があるとアドバイスを受けた。感覚処理パターンを測定した青年・成人感覚プロファイルは因子分析を行った結果、因子構造が不明瞭であることが分かった。再現性のある結果を得るために、感覚処理パターンの中で最も歯科恐怖と関連している感覚過敏を測定する15項目から、項目反応理論を用いて極端な項目を取り除き因子構造が明確な短縮版を作成することとした。まず因子分析から低い因子負荷量を示した2項目が除外され、予備項目分析の結果から低い識別力を示した4項目を削除した。残った9項目の1因子性を確認後、項目分析を行い項目母数を推定した。識別力および困難度母数9項目全て基準範囲内であった。は9項目の合計点と15項目の合計点のポリシリアル相関係数を算出し、短縮版の妥当性を確認した。 短縮版感覚過敏性尺度を用いて、アレキシサイミアと歯科恐怖の関係を感覚過敏性が媒介するかを共分散構造分析を用いて検討した。その結果、感覚過敏性はアレキシサイミアと歯科恐怖の関係を完全媒介していることが分かった。これはアレキシサイミア傾向のある個人は感覚過敏性が高く、そのため歯科恐怖が形成されやすいと示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
共分散構造分析の専門家にコンサルトを行ったところ、使用していた質問紙の因子構造が不明瞭であり、短縮版を作成した上で解析を行うべきであるとアドバイスを受けた。そのため追加の解析を行う必要があったからである。
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今後の研究の推進方策 |
アレキシサイミアと破局的思考に関しては、感覚過敏性と歯科恐怖との関連が今年度の解析によって明らかとなった。今後は痛みに対する恐怖感が感覚過敏性と歯科恐怖の関連にどのように関わるかを検討する。 そのためにまずは日本語版痛みに対する恐怖尺度の信頼性と妥当性を検討する。その後、痛みに対する恐怖感が歯科恐怖に関連するか、またその関係を感覚過敏性が媒介するかを共分散構造分析を用いて検討する予定である。 その後、歯科恐怖度の高い約100名に対し、痛みに対する恐怖感および感覚過敏性をオンラインで調査しクラスター分析を行う。それにより、歯科恐怖の高い個人を因子によって分類する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の流行により、参加予定であった国外の学術大会がオンライン開催となったため。次年度は国内の学術大会が対面で複数開催される予定のため、旅費として使用する。
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