研究課題/領域番号 |
20K18826
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤井 菜美 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (90635377)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 咳嗽音 / 誤嚥性肺炎 / 湿性咳嗽 |
研究実績の概要 |
咳は気道内異物を口腔から排除するという口腔機能である。本研究の目的はムセ・咳嗽音について細かく分析を行うことにより、気道内の痰の有無や誤嚥性肺炎のリスクの判定など、臨床的に役立つ情報に変換できる可能性の検討を行うことである。そのうえで、申請者は、①食事時のムセ回数の測定と、②咳嗽音の音響分析を行う予定としていた。しかしながら、令和2年度はcovid-19の感染拡大によって、高齢者施設への出入りが大きく制限されてしまったこと、高齢患者の病院への受診が大きく減少したこと、そして、飛沫がとぶリスクの高い咳をしてもらい録音するということが感染リスクを伴うものであることから、まとまった人数対し研究を実施することが困難となってしまった。そのため、申請者は研究を行う上で必要な知識や音声の分析について学習し、音響分析の経験のある研究者と実験計画について、より深く話し合いを行った。サウンドスペクトログラムについては、当初予定していた解析ソフトよりも、より簡便に行える解析ソフトでの方法を検証した。また、録音が行いやすい健常成人に対し、感染予防に留意しながら、随意咳嗽と誘発咳嗽での咳嗽音の分析を行った。健常成人における随意咳嗽と誘発咳嗽においても、サウンドスぺクトログラム上で異なる傾向があった。咳嗽の録音、分析の手技を、健常者において、より正確に実施可能となった。今後は湿性咳嗽の記録を行うことによって、健常成人の乾性咳嗽との比較を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度はcovid-19の感染拡大によって、高齢者施設への出入りが大きく制限されてしまったこと、高齢患者の病院への受診が大きく減少したこと、そして、飛沫がとぶリスクの高い咳をしてもらい録音するということが感染リスクを伴うものであることから、まとまった人数対し研究を実施することが困難となってしまった。そのため、申請者は研究を行う上で必要な知識や音声の分析について学習し、音響分析の経験のある研究者と実験計画について、より深く話し合いを行った。サウンドスペクトログラムについては、当初予定していた解析ソフトよりも、より簡便に行える解析ソフトでの方法を検証した。また、録音が行いやすい健常成人に対し、感染予防に留意しながら、随意咳嗽と誘発咳嗽での咳嗽音の分析を行った。健常成人における随意咳嗽と誘発咳嗽においても、サウンドスぺクトログラム上で異なる傾向があった。咳嗽の録音、分析の手技を、健常者において、より正確に実施可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
covid-19の感染拡大による現在の状況では、当初の研究計画の進行は通常時よりも、大幅に時間がかかるものと推測される。特に、嚥下診察の希望のない高齢者に対し、ムセ回数を測定するのは、感染リスクから困難であると思われるため、研究のメインを咳嗽の音響分析とする方向で、研究計画を修正している。咳嗽音の記録は嚥下診察の希望のあった患者には当初の予定通り行っていくが、それとは別に湿性咳嗽の分析を進めるために、肺疾患を有するものの咳嗽音につても分析を行っていくものとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
covid-19の流行により、当初行う予定であった高齢者施設への訪問や研究協力が得られず、研究計画に遅れが生じている。covid-19の感染拡大による現在の状況では、当初の研究計画の進行は通常時よりも、大幅に時間がかかるものと推測される。特に、嚥下診察の希望のない高齢者に対し、施設在住高齢者として、ムセ回数を測定したり咳嗽音の録音の協力を得るのは感染リスクの高さより当面の間は困難であると思われる。そのため、研究のメインを咳嗽の音響分析とする方向で、研究計画を修正している。 咳嗽音の録音については、対象を嚥下診察の希望のあった患者とし、当初の予定通り行う。研究者自身のみならず、当研究室員にも協力を要請し、診察時の所見としての咳嗽音を収集する。また、それとは別に湿性咳嗽の分析を進めるために、呼吸内科医に協力を要請し他病院での肺疾患を有するものの咳嗽音について録音・分析を行うことを検討している。上記の計画の推進のため、録音に必要な機材などの追加購入および病院への訪問費用や咳嗽音を録音するための感染対策のための物品などの購入を検討している。
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