研究課題/領域番号 |
20K18835
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
堀部 耕広 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90801506)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 口腔機能低下症 / 口腔機能管理 / 栄養状態 / フレイル |
研究実績の概要 |
今回の研究は、補綴外来患者に対して、一回目の口腔精密検査を行い、その後半年後の口腔精密検査の結果を比較して、口腔機能管理の効果を検証することを目的とした。 被験者は、東京歯科大学水道橋病院補綴科に来院した65歳以上の104名の男女で実施した。口腔機能管理を行い半年後にふたたび口腔精密検査を行った42名のなかから検討を行った。 口腔精密検査の他に、佐藤らの咀嚼機能評価、BMI、食品摂取多様性スコア、握力、基本チェックリスト、患者満足度の評価としてフェイススケールを検討した。 開始時の口腔機能精密検査での該当率は,口腔不潔51.2%,口腔乾燥60.5%,咬合力79.1%,舌口唇運動72.1%,咀嚼機能44.2%,低舌圧55.1%,嚥下機能23.3%であった。開始時と再評価で,最大舌圧は26.8±10.0kPaから30.2±6.9kPaに,グルコース溶出量による咀嚼能力検査は104.8±55.3g/mlから122.9±56.2g/mlに,咀嚼機能評価表は64.8%から72.3%になり,開始時と再評価時の間にそれぞれ有意差を認めた。他の項目では,両群間に有意差は認めなかった。該当項目が2項目以下となり,口腔機能低下症から回復した者は21%であった。管理内容は,咀嚼指導、生活習慣、栄養や食生活等の指導が51.2%,補綴治療や口腔機能訓練等が行われたものが48.8%であった。 以上のことから,6か月間の口腔機能管理により口腔機能が向上もしくは維持できたと考えられ,高齢者への口腔機能管理の有効性が示された。今後は機能訓練や栄養指導など介入内容と効果の関係性を検証する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は半年後のデータがほぼ全員取得できると予測していたが、ここまで半分の42名となっている。今後計測は継続しており、50名以上は達成して成果を発表する予定である。 また同時に、具体的に栄養指導、口腔機能訓練を行い、その効果も検討するため、無作為に被験者を選んで実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究を遂行する上での課題と言えばリコールで半年後に来てもらえる患者がどうしても確実に確保できない状況があるため、母数を増やして半年後の再評価の数を増やす必要がある。現在は無作為化試験を行い、栄養状態の介入、口腔機能訓練の介入を行いその効果についても検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
被験者が目標数まで達しておらず引き続き試料採取を行う必要がある。また2回目の検査評価についても前年度と同様の額が必要となることが予想される。 今後は介入検査を行い口腔機能低下症の診断において口腔機能訓練や栄養指導の訓練を行う。その際の備品購入に使用する。また訓練の際に使用する予定であるペコパンダ、リップルトレーサー、配布用資料なども購入予定である。その他論文投稿、学会発表、参考資料の購入などに充てる。
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