研究課題
オンライン質問票を用いた調査では、パンフレットを配布した828名の看護師うち、358名が研究対象者とした。職場間の共感満足の比較では、訪問看護、緩和ケア病棟、一般病棟の順に共感満足が高かった。次に職場ごとの解析では、それぞれの職場環境因子のうち、一般病棟では「価値観」、緩和ケア病棟では「報酬」、訪問看護では「裁量権」と「共同体」が共感満足との関連が強く、それぞれの職場の特色を反映した結果であった。終末期ケアの質については、一般病棟では「仕事の負担」との関連が強かったが、その他の二つの職場では、「仕事の負担」と終末期ケアの質の関連は認められなかった。緩和ケア病棟では、「共同体」が終末期ケアの質を向上するのに重要であった一方で、訪問看護ではいずれの職場環境因子とも終末期ケアの質との有意な関連は認めなかった。この点は、訪問看護師による終末期ケアの質が職場環境に依存していないことを示唆した。またいずれの職場でも、共感満足と終末期ケアの質の両者に有意な関連を認めた因子はなかった。本研究により訪問看護師の共感満足の高さが明らかとなり、看護師の共感満足を理解する上で重要な知見と考える。さらには職場ごとに共感満足と関連する因子が明らかとなったことにより、今後の共感満足を高め、さらには終末期ケアの質の向上にもつながる職場環境改善の介入研究につながることが期待される。これらの成果は日本緩和医療学会学術大会、アジア太平洋ホスピス緩和ケア大会にて学会発表を行った他、国際誌International Journal of Nursing Studies(Higashibata T, et al. Int J Nurs Stud. 2023)に掲載された。
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International Journal of Nursing Studies
巻: 143 ページ: 104521~104521
10.1016/j.ijnurstu.2023.104521