研究課題
ICUは重症感染症患者が多いため広域抗菌薬の使用が許容されやすく、耐性菌発生リスクが高いことから重点的に抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)を導入すべきとされるが、本邦では感染症医が少なく人的資源が限られるため整備が遅れている。本研究では、感染症医が常駐していないICUで抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)を導入した効果を明らかにすることが1つ目の目的である。ASPの手法として薬剤師を含む多職種での回診を2016年10月から、抗菌薬が適正に使用されているかを振り返るTime outを2018年6月から導入しており、現在も継続している。2020年度は、多職種回診開始前の2015年4月から多職種回診やTime out開始後の2020年3月までの抗菌薬使用密度(antimicrobial use density:AUD)と抗菌薬使用日数(days of therapy:DOT)のデータを収集し、多職種回診とTime outが与えた影響を解析した。その結果、Time out開始後に抗菌薬使用量が減ったことを明らかにした。加えて、上記の解析対象期間中にICUに入室した患者情報の収集も終了した。2021年度は、在院日数、ICU滞在日数、ICU死亡率、院内死亡率などの患者転帰へ多職種回診とTime outが与えた影響を、患者背景を加味して評価する。加えて、適切な抗菌薬使用が行われているかの指標として広域抗菌薬からより狭域抗菌薬へ変更されたかどうか(de-escalation)のデータを収集し、de-escalationされなかった症例について要因を検討する。
2: おおむね順調に進展している
AUD、DOTのデータ収集と解析がすすめられており、患者背景の収集が終了した。論文執筆中である。
多職種回診とTime outが患者転帰に与えた影響を、患者背景を加味して評価する。適切な抗菌薬使用が行われているかの指標として広域抗菌薬からより狭域抗菌薬へ変更されたかどうか(de-escalation)のデータを収集し、de-escalationされなかった症例について要因を検討する。
国際学会、国内学会がともに現地開催されなかったため、予定していた旅費を使用しなかった。次年度にデータ入力のための人件費と、論文発表のための諸経費に計上する予定である。
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