研究課題/領域番号 |
20K18853
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
野中 文陽 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (20838271)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 遠隔医療 / 複合現実(Mixed Reality:MR) / 離島・へき地医療 / 関節リウマチ / 人工知能(AI) |
研究実績の概要 |
本研究は、IoT(Internet of Things)と人工知能(AI)を組み合わせ、複合現実(Mixed Reality:MR)技術を活用し、離島地域で関節リウマチ遠隔医療システムの構築を目的としている。 令和3年度は、前年度に開発したNURAS(Nagasaki University Rheumatoid Arthritis remote medical System)の実証実験を開始した。長崎県五島中央病院に通院中の関節リウマチ(RA)患者4名にNURASを用いた遠隔医療を行った。五島中央病院診察室のかかりつけ医、長崎大学病院のリウマチ専門医が双方向性に顔の見えるコミュニケーションをリアルタイムに行いながら診察を進めた。患者によるPatient-reported outcome(PRO)評価をタブレット端末のNURAS問診アプリを用いて行った。当初、NURASに搭載する予定であったAIのうち、①表情認識 (Kinectカメラで撮影した患者の表情を自動で評価し数値化する)および②文字起こし (診察時の医師と患者の会話を文字に自動で変換し記録する)については実際の診察で使用できたが、③画像認識 (Kinectカメラで撮影した患者の関節部位において関節腫脹の有無を評価する)は機械学習が整っておらず、今後施行開始予定である。 2名の患者は、NURASによる診察を経て治療強化を行っており、RAの疾患活動性やVAS(Visual Analogue Scale)が改善し、患者満足度が高い。高齢患者の中には「最初本システムをどのように行うのか、だれに診られているのか」などの不安を感じていた方もおられたが、オンライン会議(Teams)を用いることで不安の解消に至った。残りの2名は治療方針に変化は無かったが、遠方の専門医からの評価がもらえたことで満足度は高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際の診察において本システムを用いた診療(実証実験)が開始された。まだ症例数は少なく今後対象者を増やしたいと考えるが、進捗としては概ね予定通りと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
長崎県五島中央病院において、引き続き本研究に同意する患者を対象とした実証実験を進めていく。MURASを用いた診察における臨床所見、Patient-reported outcome(PRO)評価、AI評価、診療時間、患者満足度、通信状況を含めた使いやすさなどを総合的に評価していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
学術集会等への出張が減ったことで次年度使用額が生じた。今後はNURASのランニングコストとしての通信費、解析用のPC購入、可能であれば現地開催の学術集会での発表等に予算を充てる予定である。
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