研究課題
日本における医師の地域偏在は深刻である。そこで、1972年に自治医科大学は医師不足地域の医師を確保するために開設された。自治医科大学卒業生は医学部卒後9年間を出身都道府県のへき地診療所を含めた医療機関で勤務し、出身都道府県の地域医療を担うことを義務付けられている。自治医科大学は「医療の谷間に火を灯す」というアドミッションポリシーを掲げ、生涯にわたる地域医療への貢献を教育している。卒業生が地域医療を支える役割を果たす一方、「地域医療=自治医科大学」の図式ができたことで、他大学出身の医師の地域医療への意識が高まりにくく、さらに地域の医師不足が深刻化した。さらなる医師の地域偏在の解消策として大学医学部に地域枠入学選抜制度が設けられた。しかし、医学教育の視点が欠如し、地域枠医師の意思に関らず数合わせのために派遣される現状は、地域枠入学選抜制度の弊害といっても過言ではない。実際、研究者が勤務する和歌山県立医科大学では卒後9年間の県内勤務を義務付けられた地域枠入学者が約3割を占め、一部の地域枠学生・医師は、自らの意思に反して派遣されたと感じる弊害が生じ、そのことが医師キャリア支援を困難としている。そのため、地域枠入学者の量的・質的調査結果の一般化することが、当事者目線からみた医学教育の改善及びキャリア形成支援の開発に資する。当事者の目線から現状の入学選抜の弊害を明らかとするとともに、当事者が必要としている支援の要素を抽出することで、当事者目線からみた医学教育の改善及びキャリア形成支援の開発を行うことを目的とした。
3: やや遅れている
ようやくコロナ禍が解消され令和5年度は、活動できるようになったが、地域枠医師も多くが人員不足からの臨床現場が忙しいため、対面での研究活動を行うことができなかった。しかし、コロナ禍後のオンライン促進の副産物で、インターネットでのアンケート調査を取ることができるようになったために、自治医大出身医師を対象に、地域枠医師のアンケート調査を行うことができさらにそれに関する発表を国際学会で行った。
アンケート調査により得たデータと解析をさらに行い、論文化を目指す
コロナ禍のため延長したが、来年度は論文執筆費に使用する予定である
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Coron Artery Dis .
巻: 34(5) ページ: 356-363
10.1097/MCA.0000000000001250.
Bio Clinica
巻: 38(5) ページ: 48-51