研究実績の概要 |
本研究は、日本と韓国の国民を代表するデータを用い、健康状態の男女差を比較し、背景因子を示すことである。日本は国民生活基礎調査(2013年)と韓国では、韓国疾病予防センターが実施しているThe Korean Community Health Survey(KCHS)を用い、両国民の経済社会的因子といったミクロレベルのデータで、マクロレベルの日本と韓国の比較(横断解析)を実施した。2013年の両国の245,043人の参加者から19歳以下、年齢、性、主観的健康感の項目で欠損値を含むものを除外し、分析対象者は239,076人(日本 12,971人、韓国 226,105人)であった。 令和4年度は、日本と韓国のデータ解析を中心に行った。3つのリサーチクエッション(①年代別主観的健康感のパターン②健康の社会的決定因子③年代別主観的健康感のGender Inequality)について、解析を実施し最終的な結果が得られた。①はシンプルに男女別国別に年代ごとの悪い主観的健康感の割合をプロット、②は要因を5つのモデルを作成し、男女の有病率非を日本と韓国で比較、③は社会経済因子を教育歴と家族収入の2つに細分類を行った。交絡因子を順次調整したところ、主に社会経済因子で男女格差は消失したことから、男女格差の違いは教育歴と家族収入といった社会的要因で一部を説明することが分かった。 背景因子としては、韓国で女性のほうが「悪い」となる要素は、韓国は職環境において、雇用率よりも職業の質の違いがあること、韓国の男女賃金格差、そして所得格差が教育水準が低い韓国人の間でさらに広がっていることが挙げられる。また、韓国は日本よりも急激な経済成長と家族構成の変化で、韓国人女性においてソーシャルセキュリティーが不十分な可能性と考察した。 結果は令和4年第82回日本公衆衛生学会で発表を行い、今後論文化する。
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