研究課題/領域番号 |
20K18859
|
研究機関 | 東都大学 |
研究代表者 |
平野 康之 東都大学, 幕張ヒューマンケア学部, 教授 (90583211)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | シミュレーション教育 / 訪問リハビリテーション / 全身状態管理 / 病状変化の気づき / 緊急対応 / フィジカルアセスメント / 卒後教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)従事者が、利用者の病状変化や急変などに気づき、適切な対応ができるようになるためのシミュレーション教育プログラム(以下、プログラム)の構築とその有効性の検証を行うことである。 初年度(令和2年)は、まずプログラム作成に取り掛かった。プログラムは内科系疾患症例の病状変化シナリオに基づく知識や技能の習得を図る講義および実習と、高機能シミュレーターを活用して臨床的思考能力の向上を図るシミュレーションで構成される。プログラム作成に当たっては、共同研究者4名に病状変化シナリオおよび講義・実技、シミュレーションの実施案の作成を依頼し、シナリオ作成会議(オンライン会議)を開催して作成を進めた。会議では個々に作成したシナリオ案について討議を重ね、本研究の趣旨に合致したシナリオとなるよう適宜修正をはかった。その結果、4つのシナリオが概ね完成し、現在、シナリオ間での内容重複や講義・実習との連動、その他の細かな調整を行っている。 今後は、シナリオを完成させるとともに、講義・実習、シミュレーションの実施内容の調整を図りながら、具体的な研修スケジュールを作成し、次のシミュレーション教育効果の検証に移行する予定である。 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、対面での研修実施が困難な状況にあることから、今後のワクチン接種状況や感染状況をみて研修の開始時期を決定したいと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度(令和2年)は、まずプログラム作成に取り掛かった。プログラム作成に当たっては、共同研究者4名に病状変化シナリオおよび講義・実技、シミュレーションの実施案の作成を依頼し、シナリオ作成会議(オンライン会議)を開催(計3回)して作成を進めた。会議では対象症例の病状把握に必要なアセスメント項目や緊急性の判断と対応の向上が図れる内容となっているかについて意見を出し合い、討議を重ねて内容の調整を図った。 当初の予定では、対面でのシナリオ作成会議を開催し、実際に高機能シミュレーターを操作しながらプログラム作成を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、共同研究者との打ち合わせや会議の時間を十分に確保することができなかった。また、オンラインでの会議開催となったことから、実際に高機能シミュレーターの操作ができず、シミュレーション教育のイメージが理解しづらい状況であった。これらのことが計画遂行が遅延した理由と考える。 現時点で、4つのシナリオは概ね完成しており、他のシナリオとの内容重複や講義・実技との連動、その他の調整を図っている最中である。また、研修案についても実施概要は作成できているため、遅れを取り戻すことは十分可能であると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究はシミュレーション教育の有用性を検証することが大きな目的であることから、シミュレーターを活用した対面での研修実施は必須である。現時点においては新型コロナウイルスの感染拡大が依然続いており、首都圏を中心に緊急事態宣言が延長されている状況であるため、対面での研修を実施することはまだ感染リスクが高いと判断する。また、仮に研修実施を決めて参加者を募集したとしても、参加する側の立場からは感染リスクを考慮して応募を見送る可能性も高いと予測され、予定数の参加者を確保することが難しいと考える。 よって、今後の本研究の推進方策としては、まず、新型コロナウイルスの感染拡大状況を確認し、感染指標ステージが1.2レベルになること、また、ワクチン接種率が8割以上となることを目安として開催日程を決めたいと考えている。 また、実際の研修開催までにプログラムを再度見直し、内容をより洗練るとともに、感染対策を万全なものとする。そのうえで、研修実施の基準を満たす状況となった際にすぐに参加者の募集や研修が実施できるように準備を進めたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、高機能シミュレーターを購入せずに、レンタル契約に変更したことにがその原因である。当初の計画では高機能シミュレーターを1台購入して研修を実施する予定であったが、シミュレーター企業から研究協力をいただき、年間でのレンタル契約が可能となった。これにより複数台のシミュレーターをレンタルすることも可能となり、1台での実施よりも複数台での質の高い研修が期待できるようになった。 今後の使用計画としては、研修実施に伴う高機能シミュレーターのレンタル費、会場費、人件費などに加え、学会発表や論文などの成果物の校閲費などで助成金を使用する予定である。
|