研究課題/領域番号 |
20K18860
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
水谷 友紀 杏林大学, 医学部, 学内講師 (20365381)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高齢者 / がん / エンドポイント / 臨床研究 |
研究実績の概要 |
本研究では、高齢者を対象とした臨床試験のシステマティックレビューを行ったうえで、医療者を含む臨床試験の専門家および患者代表とでパネル・ディスカッションを行い、高齢がん患者において「いつまで元気でいられるか」というエンドポイントの定義および評価方法の「提言」を作成することを目的としている。具体的には、本研究では、①高齢者を対象とした臨床試験のシステマティックレビューを行い、当該臨床試験のエンドポイントの定義および評価方法の情報を評価し、②医療者を含む臨床試験の専門家および患者代表でパネル・ディスカッションを行い、高齢がん患者において「いつまで元気でいられるか」というエンドポイントの定義および評価方法の「提言」を作成する。 2020年度は、高齢者を対象とした過去の臨床試験で用いられたエンドポイントの定義および評価方法をシステマティックレビューにて評価した。具体的には、研究計画書に従い、第3相臨床試験のprimary endpointのシステマティック・レビューを実施した。具体的には、臨床研究データベースであるClinicalTrials.govに登録された臨床試験で現在実施中の臨床試験のデータを、医学・生物学文献データベースであるPubMedで過去に行われた臨床試験のデータを収集し、それらを解析した。まず、ClinicalTrials.govで検索した31.073件の研究のなかから、介入研究、第3相試験、対象患者が65歳以上である364件の臨床試験を評価し、また「がん」を対象とした試験と「がん以外」を対象とした試験に分け、それぞれを比較した。 システマティックレビューの結果は欧州癌治療学会(European Society for Medical Oncology)で発表予定である(抄録登録中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に従い、第3相臨床試験のprimary endpointのシステマティック・レビューを実施した。具体的には、臨床研究データベースであるClinicalTrials.govに登録された臨床試験で現在実施中の臨床試験のデータを、医学・生物学文献データベースであるPubMedで過去に行われた臨床試験のデータを収集し、それらを解析した。まず、ClinicalTrials.govで検索した31.073件の研究のなかから、介入研究、第3相試験、対象患者が65歳以上である364件の臨床試験を評価し、また「がん」を対象とした試験と「がん以外」を対象とした試験に分け、それぞれを比較した。 「がん」を対象とした試験の90%以上では生存に係わるアウトカムをprimary endpointとしていたが、「がん以外」を対象とした試験では生存に係わるアウトカムは3%程度であり、認知機能、せん妄、身体機能、転倒、抑うつ、栄養、不眠、高血圧、脳卒中など、多様なアウトカムをprimary endpointとしてた。そのなかで、生存と高齢者特有の症状(例:身体機能、認知機能)を複合エンドポイントとしている試験があり、がんを有する高齢者を対象とした臨床試験におけるprimary endpointのモデルになり得ると考えた。 PubMedの解析は終了していないが、同様の傾向があった。
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今後の研究の推進方策 |
ClinicalTrials.govに関する解析を欧州癌治療学会(European Society for Medical Oncology)で発表予定である(抄録登録中)。また、PubMedの解析が終わり次第、こちらも学会発表を行い、両者の情報で論文作成をする。 それらの情報をベースとして、2021年度は多職種によるパネルディスカッションを行い、がんを有する高齢者を対象とした臨床試験における適切なprimary endpointを提案する予定である。2022年度は、その結果を学会および論文で公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は多職種によるパネルディスカッションを行う。 パネルディスカッションを行うにあたり、人件費(レビュー補助、資料整理などの研究補助員)を2021年度、2022年度に計上した。事前資料の作成にあたり図書館員および医師に約5000の論文をレビューしてもらう必要があり、これには60時間程度かかると見込み、 謝金を計上した。また、パネルディスカッションを行うにあたり、約5時間の会議で議論をしてもらうため、この謝金も計上した。その他、学会参加費、2020年度には学術誌へ投稿に際して外部に英文校閲を依頼する費用、および論文投稿料を計上した。また、パネルディスカッションを行うにあたり通信費や会場費も計上した。
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