研究実績の概要 |
臨床試験登録・公開サイトであるClinicalTrials.govより、がんを併発「している」高齢者を対象とした臨床試験およびがんを併発「していない」高齢者を対象とした臨床試験のエンドポイントに関するデータを抽出し、老年腫瘍および老年科のエンドポイントを比較した。本研究の対象は、対象年齢が65歳以上、介入試験、第3相試験とした。得られたエンドポイントは、3人の医療者によって14種類のエンドポイントに分類された。 ClinicalTrials.govの検索画面より、対象年齢が65歳以上、介入試験、第3相試験を入力したところ30,125試験が抽出され、老年腫瘍は7,328試験、老年科は22,797試験であった。それぞれの試験を評価したところ、最終的jには老年腫瘍は100試験、老年科は238試験が対象となった。 老年腫瘍領域の100試験のうち、69試験(69%)は生存期間に関係するエンドポイントであり、身体機能や認知機能などの老年医学的なエンドポイントは1試験(1%)と少なかった。一方、老年医学領域の238試験のうち、生存期間に関するエンドポイントは10試験(4%)であり、老年医学的なエンドポイントは83試験(35%)、ワクチンの抗体価などの検査データが55試験(23%)であった。 がん診療と老年科診療の統合が求められている現状において、両領域間の認識のギャップを確認することで、高齢がん患者の真のベネフィットをはかるエンドポイントを設定することができると考えられる。
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