研究課題/領域番号 |
20K18868
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研究機関 | 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)) |
研究代表者 |
浜田 将太 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)), 研究部, 副部長 (80712033)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高齢者 / 薬物療法 / ポリファーマシー / 在宅医療 / データベース |
研究実績の概要 |
在宅医療を受ける75歳以上の高齢者を対象として、死亡前1年間の心血管疾患の管理・予防に用いられる薬剤の処方変化について検討した。評価時点は、死亡12ヵ月前、死亡3ヵ月前、死亡前1ヵ月間の3時点とした。心血管疾患の管理・予防に用いられる薬剤の処方は減少したものの、死亡前1ヵ月間においても、降圧薬が34.7%、抗血小板薬が15.9%、抗凝固薬が7.6%、糖尿病治療薬が7.3%、脂質異常症治療薬が6.1%に処方されていた。減少率が最も高かったのは、脂質異常症治療薬で44.8%、最も低かったのは抗凝固薬で13.6%であった。一方で、便秘薬(外用)、制吐薬、経口ステロイド薬等の処方は増加した。以上より、生命予後が限られた在宅療養高齢者において、予防薬を減薬し、症状改善薬とのバランスを取ることによって、不適切な多剤処方(ポリファーマシー)を回避することができる可能性があると考えられた。
また、高齢胃瘻患者は、生命予後が限られている時期にいることが多いため、薬物治療の見直しを検討する必要がある。高齢胃瘻患者の実態を明らかにするため、NDBオープンデータを用いて、日本全体での高齢者に対する胃瘻造設術の実施件数の推移を調査した。その結果、総件数については、2014年度から2016年度の間で減少がみられたものの、2016年度から2019年度の間は人口の高齢化にもかかわらずほぼ一定であった。その背景として、フレイルや障害を有する高齢者において、胃瘻造設術の実施を回避した可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
いくつかの研究を実施し、学会発表や論文投稿まで進めているが、まだ論文採択まで完了していないものがある。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度中に学会発表を予定しており、また論文査読対応中である。年度末までに研究成果を公表できるように進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定よりも研究成果の発信までに時間を要した。研究成果の公表に係る旅費等を中心に使用する予定である。
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