研究課題/領域番号 |
20K18889
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研究機関 | 岐阜保健大学 |
研究代表者 |
秋山 直美 岐阜保健大学, 看護学部, 講師 (20636534)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 医療安全 / 患者安全 / インシデントレポート / 患者誤認 / 転倒・転落 / 薬剤エラー / ドレーン・チューブエラー / 窒息 |
研究実績の概要 |
本年は既存データの解析に注力した。「急性期病院における高頻度インシデントに関連する要因(日本医療・病院管理学会誌、2021)」は、いわゆる三大インシデントと言われる薬剤・ドレーン・転倒転落に関連する要因には相違があり、医療安全対策を検討する上での一つの示唆を得た。発生頻度は低いが、発生すると患者に深刻な影響をもたらす窒息については「Choking injuries: Associated factors and error-producing conditions among acute hospital patient in Japan(PLOS ONE,2022)」において、その発生関連要因の詳細について論じた。インシデントに関する先行研究の多くは医療者を対象としているが、医療者以外の職員によるリスクを見積もる必要があった。 調査対象施設では医療従事者以外のインシデントレポートは少なかったため、公表データを用いて事務職に関する調査「Incident reports involving hospital administrative staff:analysis of data from the Japan Council for Quality Health care nationwide database (BMC Health Seervice Reseasrch,2020)」、介護士・保育士に関する調査を「Reported Incidents Involving Non-medical Care Workers and Nursery Teachers in Hospitals in Japan: An Analysis of the Japan Council for Quality Health Care Nationwide Database(Cureus,2022)」にまとめた。昨年度から投稿していた論文が本年度掲載されることが決定し、その他、関連学会での発表も順次行い、結果の公表に結びついた年だった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の流行により、医療機関の職員へのアプローチが難しく、連携が遅延している調査がある。調査方法を遠隔機器を用いたものに切り替えるなどの工夫をしているが、最終年度に向けて、COVID-19の流行時期に合わせて進捗や内容に調整が必要と考えている。研究計画書の大幅な変更なしに、調査実施の目途が立てられている。 一方で、2022年度に注力する予定であった結果の公表については、2020~2021年度にかけて学会発表や論文投稿を精力的に行い、ある程度の結果を提示できているものと思われる。2022年度に関しては、調査実施に注力しつづ、結果の公表を継続していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度に調査のしきれなかった医療機関の医療安全関連の職員に聞き取り調査を行いたい。すでに一部の管理者には聞き取りを行っており、調査手法自体に問題はないことは確認している。COVID-19の流行の状況によっては医療従事者へのコンタクト自体が難しくなることも予想されるが、インターネット等を利用し、アプローチを続けたい。 また、すでに2022年度については看護系・医療安全系の学会での発表が予定されており、さらに、他学会での発表を計画していきたい。本年は最終年度となるため、本研究のさらなる発展に向けて、学際的な視点も取り入れつつ、研究の展望を見すえていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の流行により、予定していた会議や学会への参加を延期することになった。そのため、旅費として計上していた支出が次年度(2022年度)の支出予定となった。また、予定した論文掲載の決定が2022年度に入り、論文掲載料が2022年度の支出として計上されることになった。研究の進捗としては、一部、やや遅れがみられているが、結果の公表という点では基礎解析が予定よりも早めに終了することができたため、次年度はCOVID-19の状況を鑑みながら、時期を見計らって計画の遅れを取り戻していきたい。
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