研究課題/領域番号 |
20K18891
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
西崎 祐史 順天堂大学, 革新的医療技術開発研究センター, 准教授 (60743888)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 初期臨床研修 / 基本的臨床能力評価試験 / 臨床研修環境 / 医師キャリア |
研究実績の概要 |
初期臨床研修医が、研修を受けた「教育環境」や初期臨床研修で獲得した「基本的臨床能力」は、その後の医師キャリア形成に多大な影響を与える。しかしながら、本邦において研修医のキャリア形成に注目したコホートは存在せず、医師キャリアと初期研修内容の関連性は検討されていない。NPO法人日本医療教育プログラム推進機構(JAMEP: Japan Institute for Advancement of Medical Education Program)は基本的臨床能力の客観的な評価指標として「基本的臨床能力評価試験(GM-ITE: General Medicine In-Training Examination)」を開発した。 GM-ITEは、初期臨床研修医を対象とした「In-Training Exam」であり、2011年度(第1回)より導入され、昨年度(2020年度)が10回目の試験実施となった。問題は「医療面接・プロフェッショナリズム」、「症候学・臨床推論」、「身体診察法・臨床手技」、「疾病各論」の4分野で構成されており、幅広い疾患領域(内科・外科・小児科・産婦人科・精神科等)が網羅されている。 本研究は、2020年度GM-ITEを受験する初期臨床研修医の中で同意取得できた者を対象に、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を用いて、その後の医師キャリア等に関連する情報を追跡調査する。追跡調査で得られた情報とGM-ITEスコアや臨床研修教育環境との関連性を明らかにし、初期臨床研修教育の質向上を目指す。 現在、初期臨床研修医2年次について、30名のベースラインデータを収集した。収集したデータ内容は、年齢、性別、所属機関、出身大学、GM-ITEスコア、研修環境調査アンケート結果、将来の希望診療科、日本版MBI-GS (Maslach Burnout Inventory-General Survey)、ダブルライセンス(医師免許)の有無、「Disruptive physician(破壊的医師)」からの指導経験の有無および遭遇した診療科であり、現在データの集計中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究参加者の登録ついて、登録の時期は計画通りであったが、研究参加者数が、予想していた数を下回った。そのため、進捗区分は、やや遅れていると判断した。研究参加者数が想定した数を下回った理由は次の2点であると考える。 1点目は、研究参加を促す方法に工夫が足りなかったと考えている。今回は、基本的臨床能力評価試験(GM-ITE)時に、研究参加者をリクルートする目的で、紙媒体の資料を配布した。試験終了後に、研究参加を希望する研修医は、配布された紙資料に記載された研究参加登録方法に従って手続きを進めるのだが、その登録方法が予想以上に煩雑だったのかもしれないと考えている。 2点目は、新型コロナウィルス感染症の拡大が影響したと考える。研究計画時には、これほどまでの感染拡大は想定しておらず、予想外の感染の拡大が、研修医の心理状態に影響を与えた可能性があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研修医の研究参加を促すために、リクルート方法の改善する。2021年度の基本的臨床能力評価試験(GM-ITE)はPaper based testing(PBT)から、Computer Based Testing(CBT)に移行する予定である。CBTの利点を活用し、研究参加者の増加を実現させる。具体的には、本研究への参加を、試験終了時にコンピューター上で手続き可能とする。その結果、紙資料の際に生じた煩雑な手順が必要なくなり、研究登録者数の増加が期待できる。 同時に、研究計画を変更し、研究対象者の範囲を拡大する。具体的には、2021年度GM-ITE受験者も本研究の対象者とするよう計画変更を行う。
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