研究課題/領域番号 |
20K18891
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
西崎 祐史 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (60743888)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 初期臨床研修 / 基本的臨床能力評価試験 / GM-ITE / 臨床研修環境 / 医師キャリア |
研究実績の概要 |
本コホート研究では、研修医時代の基本的臨床能力や研修環境とその後のキャリアとの関連性を明らかにし、本邦の研修医教育の質向上を目指す。研究参加者のうち2年連続でアンケートに回答した者は11名であった。男女比は、男性10名(91%)、女性1名(9%)であった。所属機関の内訳は、大学病院本院3名(27.3%)、大学病院分院1名(9.1%)、市中病院4名(36.4%)、その他3名(27.3%)であった。希望診療科の内訳は、内科3名(27.3%)、救急科2名(18.2%)、麻酔科1名(9.1%)、その他5名(45.5%)であった。登録時(2020年度)の基本的臨床能力評価試験(GM-ITE:General Medicine In-Training Examination)の合計得点の平均±標準偏差は、36.18±1.83点であった(60点満点)。登録時において、「Disruptive physician(破壊的医師)」から指導を受けた経験については、経験ありが6名(54.6%)であった。GM-ITE合計得点と所属機関分類との関連は、大学病院(分院を含む)のGM-ITE合計得点±標準偏差が、36.5±2.5点、市中病院が36.8±1.5点、その他機関が35.0±1.0点と、3群間で有意差は認めなかった(P値=0.35)。総合診療科希望の医師と総合診療科以外の診療科を希望する医師との間でのGM-ITE合計得点±標準偏差は、前者が36.0±1.73点、後者が36.3±2.13点(P値=0.84)と2群間に有意な差は認めなかった。 COVID-19蔓延の影響もあり、今回のコホート研究に参加した研修医の数が限られた。この状況を克服するために、2021年度GM-ITEを受験した研修医を対象とし、基本的臨床能力及び研修環境と医師キャリアとの関連性を検討するための新規コホート研究の実施を計画した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本コホート研究への参加登録者及び、2年目のフォローアップ者の人数が、当初計画していた人数よりも下回った。参加登録者数が少なかった理由としては、次の2点が挙げられる。1点目は、リクルートの方法について利便性が低かった可能性がある。本研究への参加登録は、2020年度基本的臨床能力評価試験(GM-ITE)受験時に、研究参加希望者が紙媒体の資料を用いて参加登録の手続きを実施したのだが、その登録方法が予想以上に煩雑であった可能性がある。2点目は、COVID-19の拡大である。研究計画段階では、ここまで感染が拡大することは予想しておらず、想像以上のCOVID-19の拡大が、研修医の心理面にネガティブな影響を及ぼしたと思われる。 2年目のフォローアップ人数が、予想よりも下回った理由としては、こちらも同様に、COVID-19の拡大が影響したと考える。2年目フォローアップの時期は、2021年度末に行われたが、その時点でも、変異株の影響などにより、まだCOVID-19は収束に向かっていると言える状態ではなかった。このことが、研修医の心理面にネガティブな影響を与えたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の感染拡大については、感染の収束を願うばかりであるが、リクルート方法の利便性の低さについては改善の余地があると考え、介入を行った。具体的には、2021年度基本的臨床能力評価試験(GM-ITE)受験者を対象に、新たなコホート研究を立ち上げ、その際に、研究参加登録方法を改善した。2021年度GM-ITEは、Paper Based Testing(PBT)から、Computer Based Testing(CBT)に全面的に移行した。それに伴い、研究参加登録方法も、煩雑な紙媒体から、利便性の高いコンピュータでの登録に切り替えた。 本新規コホート研究は、倫理委員会の承認を得て、研究開始している。現在、登録データの集計中である。
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