研究課題/領域番号 |
20K18892
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
田中 博之 東邦大学, 薬学部, 講師 (30747770)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | HIV感染症 / 抗HIV薬 / オープンデータ |
研究実績の概要 |
令和2年度の研究計画に従って実施し、「オープンデータを利用した日本におけるHIV治療の変遷と実態の把握」について下記の研究成果を得た。 1. NDBオープンデータを用いた抗HIV薬使用の実態・変遷の調査・解析 第3回NDBオープンデータおよび第4回NDBオープンデータより、2016年度と2017年度の2年間の抗HIV薬の使用実態を調査した。2016年度および2017年度の抗ウイルス剤の処方量上位100品目に含まれる抗HIV薬は、それぞれ27品目と25品目であった。特徴的な結果として、2016年度から2017年度にかけてはテノホビル製剤の処方変更(テノホビルジソプロキシルフマル酸塩からテノホビルアラフェナミドフマル酸塩への処方変更)が多く行われた実態を明らかにした。また、各年度のデータを性別、年齢別(20~49歳、50歳以上)、地域・都道府県別、処方区分別(院内処方、院外処方)等に整理し解析することで、それぞれの特徴を明らかにした。 2. JADERを用いた抗HIV薬に関連する有害事象の発現状況の調査・解析 2012年4月から2020年3月までにJADERに登録された症例は全640,991例であった。抗HIV薬に関連する有害事象の発現状況を調査するにあたり、まず、HIV感染症症例の抽出を行った。抽出条件として、医薬品の一般名(期間内に日本で市販されていた抗HIV薬:40剤)と原疾患(HIV感染症、後天性免疫不全症候群、HIV検査陽性、HIVキャリアー等:15種類)を使用した。全640,991例のうち抽出条件に合致したのは3,367例であり、JADERに含まれる4つのファイル(demo、drug、reac、hist)を識別番号で連結させることによりHIV感染症症例のデータベースを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19の対応によりビッグデータ解析用のコンピュータやデータ解析ソフトの購入がやや遅れたが、研究は計画に沿っておおむね順調に進んでいると考えられる。しかしながら、予定していた学会発表については、学会の開催時期と研究の進捗状況がマッチせず、令和2年度は見送った。
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今後の研究の推進方策 |
今後も計画に沿って研究を推進していく。すなわち、「NDBオープンデータを用いた抗HIV薬使用の実態・変遷の調査・解析」においては、第5回NDBオープンデータおよび第6回NDBオープンデータの単年度での解析の後、第2回~第6回のデータを統合することで5年間の抗HIV薬の使用動向を解析する。また、「JADERを用いた抗HIV薬に関連する有害事象の発現状況の調査・解析」においては、令和2年度に作成したHIV感染症症例のデータベースを用いて抗HIV薬に関連する有害事象の報告数や発現時期、リスク因子等を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は学会発表や論文投稿を行わなかったこと、書籍等の一部の未調達品があること、その他、若干の仕様変更があったことから、それらに係る費用について次年度使用額が生じた。 令和2年度の未使用額と令和3年度の分配額を合わせた金額は、学会発表に係る旅費、論文投稿に係る英文校正料等、その他の消耗品(書籍、統計解析ソフトウエアライセンスの更新等)の購入に使用していく。
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