2014 年 8 月から 2019 年 7 月の 5 年間に日本国内における理学療法士あるいは作業療法士が報告した「筋ジストロフィー」及び「理学療法」あるいは「作業療法」をキーワードとした学術報告は延べ 266 件であり,報告者のうち理学療法士及び作業療法士の計 140 名を調査候補とした.この候補者全員に対し調査協力依頼をしたところ,協力承諾者 41 名,不承諾者 24 名,異動により不在者 19 名,返信のない者 56 名であった.不承諾者の理由はすべて「筋ジス患者へのシーティングを実施していないため」であった.承諾の得られた 41 名に対し調査用紙の送付及び回収を行った.回答者の特性として,年齢及び免許取得年数より一定の経験年数をもち,平均 11 年程度シーティングに関わってきていることが分かる.シーティングの経験人数は,半数が10 人以上という回答となり,長期に渡るシーティングの経験を有していた.調査不承諾の理由がすべて「筋ジス患者へのシーティングを実施していないため」だったことから,筋ジス患者のシーティングは一部の施設のセラピストが主となって担当していることが考えられた.筋ジスを対象としたシーティングに取り入れているアプローチとして,ABS(Active Balance Seating),キャスパーアプローチなどの回答があり,その他として「生活環境に対するアプローチ」,「背もたれを利用した変形予防」,「呼吸と嚥下を重視した姿勢」等の記述があった.約 7 割が満足している結果であったが,選択回答した理由をみると,「他職種との連携が不十分」,「書類手続き等に時間を要し,提供までの時間が長い」,「良し悪しの判断が難しく,自信がない」等の記述が中心であった.これらは満足の高低に関わらず,課題として捉えている様子が伺えた.
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