研究課題/領域番号 |
20K18900
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
朝倉 こう子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 上級研究員 (70738690)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 臨床試験 / 中間解析 / 多重性 |
研究実績の概要 |
本研究は治療効果の臨床評価と意思決定に関し,各臨床試験の特徴や状況にふさわしい戦略をどのような規準で選択し計画すべきかといった,新規治療法の臨床開発過程において現場が直面する課題に道筋を示すことを目標とし,臨床評価における適応的な試験計画の最適化に関する統計的方法を研究することを目的とする. 令和2年度は研究計画に基づき,(1)解析計画の最適化に関し,観測データに依存した解析計画の変更による性能と統計的な問題点を理論的・数値的に評価し,それらに対応する方法論にとり組んだ.具体的には,過誤確率の増大等の統計的な問題が発生する状況を整理し,その対処として,中間解析時に観察された統計量に基づき棄却限界値を計算しなおすのではなく,考えられる解析計画の変更内容に対応した意思決定規則を事前規定する方法を検討した.これにより,臨床試験において望まれる事前規定のもとで,過誤確率を増大させず観測データに依存した変更を行うことができる.またその際の試験の成功確率,期待被験者数および試験期間を評価した.これらの成果の一部を国際学会にて発表し,客観的な評価を得た.さらに(2)仮説の適応的選択に関し,すでに提案されている治療群や用量等の選択と有効性の検証を同一試験内で実施するアイディアの応用を検討した.その際,複数の仮説を評価することや,試験計画を見直すことによる有意水準の調整の問題に加え,仮説の選択に関する意思決定の方針についても検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は学会開催の有無や方式が直前まで確定せず,成果発表を断念した国際学会があったため,研究成果の公表はやや遅れているが,研究の進捗そのものはほぼ予定通りである.
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今後の研究の推進方策 |
(1)の課題に関し前年度に得られた成果を国際学会等にて発表するとともに学術論文として纏める準備を進める.さらに(2)の課題に関し,被験者数の変更等,他のデザイン変更の可能性を併せて検討するなど継続的に研究を進め,得られた成果を国内・海外の学会等を通じて発表し,客観的評価を得る.
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次年度使用額が生じた理由 |
支出を予定していた本年度の成果発表のための旅費について,オンラインでの開催や年度内の成果発表を断念したことにより,それらの費用を次年度以降に繰り越し,成果発表のための旅費に充てる予定である.また次年度には論文執筆に必要な高度計算のためコンピュータ購入の費用を予定している.
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