研究課題/領域番号 |
20K18901
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
今村 剛朗 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60849412)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 敗血症 / 重症感染症 / COVID-19 / ザンビア共和国 / 酸素支持療法 |
研究実績の概要 |
感染症は発展途上国における重大な疾病や死亡の原因であるが、感染症検査やサーベイランス体制が未確立で、流行状況把握や有効な感染症治療の実施が困難な国も多い。一方、顧みられない熱帯病を含めた既存の感染症に加えて、気候変動や急速な社会・経済発展を背景に新興感染症が増加している。2019年12月からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックが示すように、人的移動が活発な現代社会では、これらの病原体が輸入感染症として日本国内に持ち込まれる可能性は十分に存在する。アウトブレイクやパンデミックを早期に検出したり事前に備えたりするためにも、感染症流行状況把握と未知の病原体をも検出可能な網羅的サーベイランス体制構築とが必要である。本研究は、ザンビア共和国における感染症流行状況の解明につなげるべく、急性発熱で病院受診し敗血症が疑われる重症感染症患者を対象として、未知の病原体も含めた網羅的病原体解析を行うことを目的とする。
ザンビア共和国内の研究機関及び医療機関はCOVID-19への対応により逼迫しており、COVID-19以外の感染症研究を新たに開始することが困難な状況が継続している。
その中で申請者は、2021年に計2回サンビア共和国に渡航しCOVID-19に対する酸素支持療法強化に携わる機会を得た。その際に、ザンビア国内の重症COVID-19に対する酸素支持療法の現状把握と機能強化(capacity building)の必要性を検討する目的で、ザンビア保健省やザンビア国立公衆衛生研究所と共同研究を行った。2020年3月から2021年9月までにザンビア国内のCOVID-19治療センターに入院した患者を対象として診療録振返りを行い、現在解析を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ザンビア共和国内の研究機関及び医療機関はCOVID-19パンデミックへの対応により逼迫しており、COVID-19以外の感染症研究を新たに開始することが困難な状況が継続している。その中で、COVID-19に対する酸素支持療法の現状と課題を、診療録振返り研究にて解析中である。また、ザンビア共和国内での重症敗血症研究の実施が可能と考えられる病院の現地視察も行った。
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今後の研究の推進方策 |
2020年3月から2021年9月までにザンビア国内のCOVID-19治療センターに入院した患者の診療録振返りデータの解析を行い学術論文として発表する予定である。また、ザンビア共和国内での重症敗血症研究の開始を目指し、候補病院およびザンビア大学、ザンビア国立公衆衛生研究所と協議を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が開始された年である2020年にCOVID-19のパンデミックがおこり、医療体制や社会システム全体の負荷の結果、COVID-19以外の感染症に関する新規研究活動を開始することが困難だった。2021年に行ったCOVID-19診療録振返り研究の解析を実施すると同時に、重症敗血症研究の開始に向けて候補病院や各機関と協議を行う。
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