研究課題/領域番号 |
20K18901
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
今村 剛朗 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60849412)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 敗血症 / 重症感染症 / COVID-19 / ザンビア共和国 / 酸素支持療法 |
研究実績の概要 |
感染症は低・中所得国(low- and middle-income countries: LMIC)における重大な疾病や死亡の原因である。しかしながら、検査診断やサーベイランス体制の不備、医療へのアクセスなどの感染症に対する脆弱性から、多くのLMICでは流行状況把握や病原体検査診断に基づく感染症治療の実施が困難である。また、このような状況は新興再興感染症の出現および拡大のリスクも増加させる。グローバルヘルスの観点から、LMICにおける感染症流行状況把握と病原体サーベイランス体制構築とが必要である。本研究は、サハラ砂漠以南に位置するザンビア共和国における感染症流行状況の解明につなげるべく、急性の発熱で病院受診し敗血症が疑われる重症感染症患者を対象として、未知の病原体も含めた網羅的病原体解析を行うことを目的とする。
COVID-19パンデミックにより新規の研究開始が困難であった期間、代表者はザンビア共和国保健省や国際協力機構(JICA)と共同でザンビア共和国でのCOVID-19に対する酸素療法の支援を行なった。その一環として、ザンビア共和国内のCOVID-19診療病院で治療されたCOVID-19 約2900症例の診療録振返り研究を実施し、COVID-19入院症例の20%を超える高い死亡割合や酸素療法の不十分な実施体制を明らかにした(論文作成中)。また、ザンビア共和国における酸素療法拡充に関する論文を作成し現在投稿中である。
COVID-19パンデミックの負荷軽減と渡航規制の緩和により、ザンビア共和国での急性発熱患者に関する病院研究開始の準備を実施している。首都ルサカの貧困地域に位置する市中病院での研究実施を計画しており、共同研究者や協力機関(病院担当者、ザンビア大学、ザンビア共和国保健省、WHOザンビア事務所)と協議を行った。現在倫理委員会の申請準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19パンデミックにより、ザンビア共和国の医療機関や研究機関は逼迫し、渡航制限もあり新規研究の再開が不可能だった。その間に、ザンビア共和国におけるCOVID-19に対する公衆衛生対応の支援を行い、その一環として診療録振返りを実施した。倫理委員会の審査を経て、診療録振返りのデータを研究として解析していて、現在論文作成中である。
COVID-19パンデミックの負荷軽減や、ザンビア共和国・日本両者の渡航制限緩和に伴い、研究活動開始が可能となった。現在、再度関係各所との調整を行っていて、2023年度内の首都ルサカにおける病院研究開始を目指して倫理委員会の申請準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19に関する診療録振返りデータ解析は終了していて、論文投稿を準備中である。また、ザンビア共和国における酸素療法拡充に関する論文は現在論文投稿中である。首都ルサカおける急性発熱患者を対象とした病院研究は、現在倫理委員会の申請準備中であり、2023年度内の研究開始を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19パンデミックにより、ザンビア共和国の医療機関や研究機関は逼迫し、渡航制限もあり新規研究の再開が不可能であった。COVID-19パンデミックの負荷軽減や、ザンビア共和国・日本両者の渡航制限緩和に伴い、2023年度内の首都ルサカにおける病院研究開始を目指している。
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