研究課題/領域番号 |
20K18905
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
樋泉 道子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (00778623)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 百日咳 / seroprevalence |
研究実績の概要 |
【都市部百日咳感染発生率および抗体減衰率追跡調査】 2017年カンホア省ニャチャン市(都市部)において年齢別百日咳毒素抗体保有率、抗体価調査をおこなった対象者510人を追跡し、306人(2017年の年齢0-5歳 63人、6-15歳 65人、16-25歳 52人、26-35歳 59人、36-55歳 67人)で2019年に抗体価を再測定した。ワクチンの影響が小さい3歳 (2019年)以上(n=305)で検討すると、177人 (58.0%)が防御閾値とされる10IU/ml以上、一年以内の感染を示唆する62.5IU/ml以上は全体で8.9%、6-15歳で15.4%と最も多かった。 2017年に3歳以上で2019年に抗体価を再測定できた288人で、2017年と2018年の抗体価を比較すると、2017年幾何平均抗体値9.0(7.8-10.4)、2019年13.4 (11.8-15.3)IU/mlと全体で有意に上昇しており、特に6-15歳、16-25歳、36-55歳グループでそれぞれ9.3 (7.4-11.7)から13.6 (9.9-18.9)、10.4 (8.2-13.3)から15.7 (11.3-21.7)、9.7 (7.9-11.9)から15.7 (12.3-20.0)と強い上昇を認めた。193人(67%)で幾何平均抗体値は2017年より2019年で上昇しており、同地域において幅広い年齢層において多くの人が2年の間に百日咳菌に暴露されていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
同検体を用いて同時に測定する予定の別研究の項目が、新型コロナウイルス蔓延によるベトナム渡航困難および検査試薬送付困難のため検査開始できず、令和2年度中に開始を予定していたクアンガイ省タイチャー地区(山間部・ハイリスク地域)の年齢層別百日咳毒素抗体価の測定が始められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2017年カンホア省ニャチャン市(都市部)の年齢層別百日咳毒素抗体価と2019年ペア血清の抗体価の比較をさらに詳細におこない、2年間の新たな百日咳感染発生および抗体の減衰を推定する。 ベトナムへの試薬送付手続きを完了し、クアンガイ省タイチャー地区(山間部)の年齢層別百日咳毒素抗体価の測定、山間部の年齢層別百日咳感染発生率の推定およびその都市部との比較をおこない、各々の、また共通したリスク因子を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に予定していた研究開始前打ち合わせ、検査実施担当者向けワークショップ、現地での情報収集・検査進行状況確認のために計3回予定していた研究代表者のベトナムへの渡航が、新型コロナウイルス蔓延によりできなくなったため、次年度使用額が生じた。 翌年度分として請求した助成金と合わせ、検査進行状況確認のための現地渡航(可能となった場合)、検査業務委託費、研究成果発表(学会参加・参加のための旅費)等に使用する予定である。
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