研究課題/領域番号 |
20K18906
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
小野 寿子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (50827326)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | BRCA / p21 / 遺伝性乳がん卵巣がん症候群 / がん予防 |
研究実績の概要 |
日本において乳がんの罹患率の上昇は深刻な問題である。現在、日本人女性の10人に1人が乳がんに罹患する、そのような日本のという現状を改善するには一次予防が急務である。まず一次予防すべき対象者は、生まれつきがんになりやすい体質、つまり家系による遺伝性要因を持っている方である。遺伝性乳がんのうち最も高頻度なのはがん抑制遺伝子BRCA1/2バリアントが原因となる遺伝性乳がん卵巣がん症候群である。我々はBRCA1がp21のプロモーター活性のレベルでの調節上昇に寄与関与しているという報告(Oncogene, 1999;18:263-268)から「p21の発現低下」に着目し、p21の発現を上昇させるもの物質の中にこそ、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の方の発がん予防につながる薬物や低分子化合物が潜んでいるのではないかと考えた。 昨年度に引き続き、p53変異のある乳癌細胞株を用いて本研究のスクリーニングを行った。今後の予防介入の発展を期待するとdrug repositioningが可能であることから選定したFDAで承認された薬剤キットと当研究室のライブラリー薬剤を使用した。962種の薬剤をスクリーニング対象とし、WST assayにてがん細胞の増殖抑制効果が50%以上ある薬剤を選定した。そのうち、添付文書上、人体や妊孕性に明らかな問題のある薬剤を除いて、23種の薬剤において複数の濃度検討からmRNAレベルでのp21の発現量を検討する濃度を決定した。引き続き、定量PCR法にてコントロールよりp21の発現を2倍以上上昇させる薬剤を選定した。現在はmRNAレベルでBRCA1/2の発現を低下させない、もしくは上昇させる2薬剤を本研究の候補薬としてあげ、がん細胞の増殖抑制メカニズムを検索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PCRによるスクリーニングをマニュアルでの方法に変更したため時間を要した。またコロナ禍にて研究を中断せざるを得ない時期があった。
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今後の研究の推進方策 |
現在、スクリーニングにより候補薬として挙げられている薬剤が、他のBRCA陽性乳癌細胞株でも同様の変化があるかを検討する。薬剤がヒットした場合はイメージングサイトメーター(In Cell Analyzer)を用いて、正常乳腺上皮細胞株MCF10Aなどに対する微細な毒性を極めて高感度かつ定量的に検証し、最も安全な候補薬に絞る方針とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床現場におけるコロナ禍での影響にて研究が予定通り遂行できない時期があったため。また使用計画としては引き続き行う定量PCRの試薬や新たな細胞株の購入に使用することを検討している。
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