研究実績の概要 |
本年度は、利用可能炭水化物やエネルギー摂取量等の推定法について検証し、遺伝子多型のタイピングを開始した。 初めに日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)に用いる食物摂取頻度調査票の妥当性・再現性に関する研究に参加した中高年359人の食事記録について、日本食品標準成分表(七訂)と2020年に公表された日本食品標準成分表(八訂)による栄養素摂取量をそれぞれ推定し比較した。八訂ではエネルギーの算出根拠となる成分と換算係数が変更になり、食物繊維では新しい測定法が採用され、しょ糖・果糖等に細分化したデータベースが示されるようになった。 対象集団の七訂/八訂の平均エネルギー摂取量(差)は1,992/1,883kcal(約5%減)であり、食物繊維総量(FIB-)では15.0±4.8/21.4±5.4g(約43%増)で有意な差があった。八訂ではエネルギー算出成分に採用したアミノ酸組成によるたんぱく質(PROTCAA)と脂肪酸のトリアシルグリセロール当量(FATNLEA)のエネルギーに対する比率はそれぞれ12.8±1.5%、27.2±4.3%であった。七訂ではたんぱく質と脂質のエネルギーに対する比率はそれぞれ14.9±1.7%、27.9±4.2%で八訂の成分表による値よりも大きかった。本集団において従来法の炭水化物(CHOCDF-)の摂取量を100%とすると、炭水化物成分表編のカバー率は93%であった。食事記録による栄養素摂取量は七訂と八訂では違いが認められたことから、循環器疾患危険因子への影響等を検討するためには、食物摂取頻度調査票に八訂の成分表を適用した摂取量を推定する必要があると示唆された。 また、遺伝子多型についてはJ-MICC Study大幸地区参加者を対象にタイピングを開始した。
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