研究課題
若手研究
本研究の目的は、潜在的なレジオネラ症患者を積極的な喀痰培養検査によって診断し、その患者実態の把握を通じて、患者の感染源を明らかにすることである。189症例の呼吸器検体についてレジオネラ属菌検査を実施した結果、2検体からレジオネラ・ニューモフィラ血清群2(Lp2)が分離された。このLp2の菌株について、全ゲノム配列による系統解析を実施した結果、水たまりから分離された株と近縁な系統であった。したがって、これらの株に感染した患者は、入浴施設ではない場所で感染した可能性が示唆された。
細菌学
従来の尿中抗原検査試薬はLegionella pneumophila血清群1(Lp1)以外の菌種・血清群に対する感度は著しく低いため、Lp1以外のレジオネラ属菌に感染している患者は把握されていない。したがって、現在まで、国内において、Lp1以外を原因菌とする潜在的なレジオネラ症患者の実態はよくわかっていない。本研究により、従来の尿中抗原検査では診断できない、Lp1以外を原因菌とする潜在的なレジオネラ症患者の存在が明らかとなった。