研究成果の概要 |
本研究では, ポリプリン/ポリピリミジン配列 (PolyR) の三本鎖DNA形成予測式を開発した。 そして, それを利用することで微生物の染色体DNA上に存在するPolyR配列から遺伝子型別に利用可能かつ三本鎖DNAの形成が容易な配列を効率良く選択することが可能となった。レジオネラ属菌をモデルに, 染色体DNA上の24種類のPolyR配列を用いて遺伝子型別を行い, 既存のSequence-based typing (SBT) 法とin silicoによる比較を行った結果, 本法の多様度指数 (D = 0.989) がSBT法 (D = 0.981)より優位である結果が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
開発した三本鎖DNA形成温度を予測する式は, 実験的にも機能することが確認できた。本技術は, 選択した配列がどの様な条件下で三本鎖DNAを形成するかをPC上で容易に確認できる。このことにより, 精度の高い実験計画の立案から迅速な応用研究への展開まで幅広く活用可能であると考えられる。また, レジオネラ属菌をモデルに染色体DNA上の三本鎖DNA形成配列を解析することで, 遺伝子型別が可能であることを示した。三本鎖DNAの形成は, 熱変性を必要とせず二本鎖DNAの配列特異的に速やかに結合することから, 三本鎖DNA形成を利用する新規遺伝子型別法は, 迅速な分析法として期待できる。
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