研究課題/領域番号 |
20K18926
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
山崎 朋美 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 研究員 (30827275)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イムノセンサ / 表面プラズモン共鳴 / サンドイッチELISA / モノクローナル抗体 / 特定原材料 / 食品認証 / 食品表示 / ハラール |
研究実績の概要 |
本研究では、最終的に牛肉、豚肉、および鶏肉を同時に識別定量する表面プラズモン共鳴(SPR)イムノセンサ法の構築を目指している。本年度は、これまでに得られた牛肉、豚肉および鶏肉に対するモノクローナル抗体8種類及び市販抗体6種類をSPR測定装置に適用した。目的のイムノセンサ法構築に向けて様々な検討を行った。 1)抗体のセンサチップへの固定化:センサチップはあらかじめN-ヒドロキシエステルが修飾されたものを使用した。14種類の抗体のうち13種類が固定化され1種類は固定化されなかった。2)固定化する抗体濃度の検討:豚肉のマーカーとしたタンパク質に対するモノクローナル抗体2種類を用いて検討した結果、本研究では1 mg/mLが適していると考えられた。3)各抗体の反応性確認:SPR測定装置に適用した場合、5種類のモノクローナル抗体が各々異なる反応性で牛肉、豚肉および鶏肉のマーカータンパク質に反応し、8種類の抗体は反応しなかった。反応を示した5種類の抗体のうち4種類を用いることで、牛肉、豚肉および鶏肉を同時判別できると考えられた。4)測定感度の確認:SPR測定装置に適用した場合、抗体ごとに感度が異なったが、最も感度が高かったものは、豚肉のマーカータンパク質の定量範囲が約10~1000 ng/mLであり、従来法のサンドイッチELISAの感度と同程度であった。また、鶏肉の測定感度が低く、より感度の高い測定系に向けて新たな抗体を作る必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたイムノセンサへの展開まで進められた。鶏肉を定量するELISA法の構築についても計画していたが、鶏肉を測定するためのマーカーとなるタンパク質を変更した。そのため、新たにモノクローナル抗体の作製、及び、そのタンパク質の精製が必要となり、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
申請書に記載した研究計画を変更し、鶏肉を測定するためのマーカーとなるタンパク質を再考し、新たに選択したマーカータンパク質に対するモノクローナル抗体を作製する。鶏肉中の含有量やアミノ酸配列による性質などを判断材料にし、マーカータンパク質を選択する。また、現在構築できているSPRイムノセンサ法を用いて、再生条件の検討、模擬サンプル・実サンプルを用いた検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画ではSPR測定装置の使用のために遠隔への出張旅費を計上していたが、新型コロナウイルス発生の影響等によりリモートで実施した。また、学会参加や共同研究先との打ち合わせもリモートが多かった。これらに充てていた助成金は次年度に、2022年度分として請求した助成金と併せて使用予定である。新たに必要となったモノクローナル抗体の作製、及び、申請書の2022年度計画執行のために使用する。
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