研究の限界点はいくつか存在するが意義としては以下がある。第一に、成長スパートを指標とした場合、二次性徴到来の個人差が直接的には子どもの自尊心発達変化に影響しないことから、二次性徴の早さ・遅さによって様々な周囲との違いを子どもは経験するが、それが自己に対する肯定的な価値を大きく揺るがさないことが示唆された。第二に、急激な自尊心変化は現れにくく、横ばい~緩やかな低下のトレンドが明らかとなり、約半数の子どもは高く安定した自尊心を持っており、一部の子どもに見られた安定して低い自尊心が問題行動のリスクとなっていた。むしろ安定して低い自尊心を持つ一部の子どもに対してどう保証していくかが重要と示唆される。
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