本研究では、令和3年度にインターネット依存に関する注意喚起のためにも、予防マニュアルとしてハンドブックを作成した。予防マニュアルとして、「インターネット依存・ゲーム障害について」という保護者を含めた家族向けの冊子と、「インターネット依存・ゲーム障害の理解と対応」という学校関係者向けの冊子を愛媛県内の小学校を中心に12000部配布し、インターネット依存の注意喚起に取り組んだ。その際、予防教育が学校で可能であるかを検討するために、学校教員に予防教育に向けたアンケートを実施した。 283人の回答が集まったため、結果を解析した。ネット依存について、「あまり知らない」と答えた教員は44人(15.5%)であり、残りの教員は一般以上の知識を有しており、そのうち14人(5.0%)は「かなり詳しい」と回答した。また、教員自身の経験を尋ねる質問結果では、「自分が関わる生徒にネット依存の生徒がいる」は75人(26.5)、「生徒のネット依存に気づき親に伝えたことがある」は70人(24.7%)、「生徒にネットに関して注意した経験がある」は169人(59.7%)、「同僚や上司に相談した経験がある」は131人(46.3%)であった。学校における予防教育については「学校で予防教育を行うべき」は272人(96.1%)だった。調査時点で学校として取り組みは、11%が予防教育の定期的な取り組みをし、31%が年1回以上の講義または指導をし、半数程度の学校が生徒たちに配るプリント等で注意喚起をしていた。ほとんどの学校が何らかの取り組みをしている一方で、予防教育についての懸念点として実施・運用に必要な情報が不足していると半数以上が答えていた。このことより、広報活動のみならず、実際の運用に専門家が積極的に関わる必要性が示された。
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