研究実績の概要 |
本研究では,虚弱高齢者を対象とした質的調査にて社会活動に関する意見を抽出し,その意見を取り入れた社会活動を行うことで,虚弱高齢者の社会参加を促進しようとしている。 2021年度は,2022年度以降に実施する介入プログラム(社会活動)の内容の検討を行った。また,2021年度に実施予定であった訪問調査が実施できなかったため,本研究に関連するデータの分析を実施し,新型コロナウイルス感染症による社会参加への影響を明らかにした。 介入プログラムの内容の検討は,地域住民,介入地区担当の地域支援コーディネーター,地域包括支援センター職員,研究者が参加し,全3回実施した。検討の内容を踏まえ,2022年度以降に活動を開始する。 分析は,A県B市にて実施した要介護者を除いたすべての地域在住高齢者を対象とした調査データを使用した。平成30年度の調査を感染流行前,令和3年度の調査を感染流行後として分析を行った。分析対象者は,平成30年度,令和3年度のいずれにも回答した者17,040名(男7,597名,女9,443名,平均年齢76.6±5.7歳)とした。調査項目は,基本属性(性,年齢等),フレイルの有無(簡易フレイルインデックス(yamadaら,2017)にて選定),社会参加の有無(趣味活動,スポーツ関係の活動,ボランティア活動,学習教養活動),外出頻度であった。各項目の出現頻度についてMcNemar検定を行った。その結果,フレイルは11.0%(H30)→16.2%(R3),趣味活動への参加ありは35.8%→17.5%,スポーツ活動への参加ありは28.8%→18.4%,ボランティア活動への参加ありは7.5%→5.8%,学習教養活動への参加ありは16.1%→4.2%,外出頻度が週1回未満の者は2.1%→4.5%といずれも有意であった。
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