研究実績の概要 |
本研究では虚弱高齢者を対象とした質的調査にて社会活動に関する意見を抽出し,その意見を取り入れた社会活動を行うことで,虚弱高齢者の社会参加を促進しようとしている. 2023年度は,2022年度から開始された2つの社会活動(地域ウォーキング,地域交流イベント)と,本研究事業をきっかけに発足した協議体の活動を継続して行った.また,虚弱高齢者の介護予防に資する社会活動の種類を検討すべく,以下の分析を実施した. 分析は,介入地区があるA県B市にて実施した要介護認定者を除いたすべての地域在住高齢者を対象とした調査データ(2020年,2021年)を使用した.2020年にフレイルであった者3497名を分析対象とし,社会参加の種類(自治会,老人クラブ,ボランティア活動,趣味活動,スポーツ活動,学習・教養活動)ごとに2021年の中等度以上(要介護2以上)の要介護認定発生状況(以下,要介護認定の発生)について分析した.統計解析は,要介護認定の発生の有無を従属変数,独立変数を社会活動,調整変数を年齢,性別,運動機能,主観的健康感,社会的孤立としたロジスティック回帰分析を行った.社会活動は種類ごとに分けて解析を行った.次に結果を示す.1年間で中等度以上の要介護認定を受けた者は133名(3.8名)であった.要介護認定の発生と有意な関連がみられた社会活動は,自治会(OR 0.70,95%CI 0.52-0.93),趣味活動(OR 0.38, 95%CI 0.24-0.61),スポーツ活動(OR 0.31, 95%CI0.16-0.59),学習・教養活動(OR 0.23, 95%CI0.06-0.94)であった.
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