研究実績の概要 |
令和3年度は、日本多施設共同コホート研究(J-MICC Study)の集団において、ポリジェニックリスクスコア(PRS)と高血圧との関連を探索した。また、PRSと日本人集団の生活習慣との高血圧に対する交互作用を検討した。 J-MICC Studyのベースライン調査に参加した35-69歳の日本人集団のうち、ジェノタイピングされた11,252名を対象集団として解析を行った。PRSの構築には、バイオバンク・ジャパン(BBJ)から公開されている過去のゲノムワイド関連解析(GWAS)の結果を用いて、ターゲットデータ(n = 7,876)で構築し、テストデータ(n = 3,376)でその性能を評価した。高血圧の定義は、収縮期血圧(SBP)が130mmHg以上、または拡張期血圧(DBP)が85mmHg以上、または降圧剤を服用している場合とした。 PRS第一五分位(Q1)と比較して、PRS第五五分位(Q5)の高血圧の有病率は、従来の危険因子と独立して高かった(OR:2.24、95%CI:1.68-2.98)。また、PRS Q1とQ5の平均SBPおよびDBPの差は、それぞれ6.38(SE, 1.13)および3.88(SE, 0.73)mmHgであった。PRSと修正可能な危険因子(喫煙、アルコール摂取、座位時間、肥満)の組み合わせを反映したサブグループでも、高血圧の有病率と関連していた。 本内容は、第32回日本疫学会学術総会(2022年1月27日)の優秀演題賞セッションで発表された。
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