研究課題/領域番号 |
20K18944
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
森本 晶子 兵庫医科大学, 医学部, 病院助手 (60844719)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 拡張性心不全 / HFpEF / 耐糖能異常 / 肥満 / 内臓脂肪 / 自律神経機能 |
研究実績の概要 |
近年、左室収縮機能が保持されている拡張性心不全(Heart Failure with preserved Ejection Fraction:HFpEF)が増加し、その予防に向けた病態解明が求められている。高血糖、脂質異常等の代謝機能異常は自律神経機能障害を引き起こし、左室拡張機能障害をもたらすことが報告されているが、心不全に至っていない代謝異常患者における自律神経機能と左室拡張機能の関連を検討した報告はない。本研究は、心不全を発症していない代謝異常患者における自律神経機能と左室拡張機能の関連を耐糖能異常、インスリン抵抗性、肥満の関連から横断的に検討することを目的とした。 本研究は、心不全、心疾患、不整脈などを除外した代謝異常患者を対象として行った。左室拡張機能については心臓超音波検査を用いて拡張早期波(E)、心房収縮期波(A)、 E/A比などを測定した。自律神経機能指数SDNN、HF、LF、HF/LFはアクティブトレーサーを用いた 24時間心拍変動から評価した。 結果、耐糖能異常・糖尿病患者では左室拡張機能の有意な低下を認めた。内臓脂肪面積 100cm2以上の内臓肥満患者も、有意な左室拡張機能低下を認めた。一方、自律神経機能指標である SDNNおよびHFは左室拡張能指標と有意な正の相関関係を示し、この関連はHbA1c、BMI、内臓脂肪面積、HOMA-IRに独立して有意に観察された。 本研究により、内臓肥満、境界型糖尿病などの早期の代謝異常で、心臓自律神経機能、左室拡張能のいずれも低下すること、これは糖尿病でさらに悪化することが認められた。代謝異常患者において、自律神経機能異常、特に副交感神経機能低下は、他のリスク因子と独立して、心不全発症前から左室拡張機能に影響する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
605名の心不全、心疾患、不整脈などを有さない代謝異常患者を対象とした解析を行い、代謝異常患者において、自律神経機能異常、特に副交感神経機能低下は、他のリスク因子と独立して、心不全発症前から左室拡張機能に影響する可能性を示唆する結果が得られた。また、その結果を論文化した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究により、内臓肥満、境界型糖尿病などの早期の代謝異常で、心臓自律神経機能、左室拡張能のいずれも低下すること、これは糖尿病でさらに悪化することが認められた。自律神経機能、また副交感神経機能活性は、左室拡張能の重要な規定因子と考えられ、この関連は他のリスク因子と独立して認められた。本研究により心不全発症前の早期の代謝異常においてすでに左室拡張機能が低下している可能性、およびその病態に自律神経機能がかかわる可能性が示された。さらなる追跡調査により、自律神経機能が将来のHFpEF発症の予測マーカーとなる可能性を明らかにしていきたいと考えている。
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