研究課題
本邦では、高齢者人口の増加に伴い、高齢ドライバー数が増加の一途を辿っている。それに伴い、交通事故全体に占める高齢ドライバーの割合が増加している。高齢ドライバーの交通事故対策として、運転が危険な高齢ドライバーに対しては、運転免許更新時に認知機能検査や運転技能検査によって免許更新の停止や免許返納といった運転を中止させる施策が中心となっている。一方で、高齢ドライバーが運転を中止することによって、要介護認定発生、うつやフレイルなどのリスクを上昇させることが報告されており、安易な運転中止は高齢期の健康に対して悪影響を与えると考えられる。そのため、交通事故対策を検討するうえで、交通事故発生に関連するリスク要因を抽出して運転を中止すべき高齢ドライバーなのか、継続すべき高齢ドライバーなのかの基準を制定することと、運転中止後の健康維持に向けた支援策のために中止理由による予後の差異を検討する必要がある。そこで、本研究は、高齢ドライバーを対象に縦断調査を実施し、交通事故の発生数と交通事故発生リスク要因の検討、運転を中止した場合の中止理由が予後に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。本年度においては、昨年度に研究協力者と検討した調査項目等をもとに、高齢ドライバーの運転状況等に関する追跡調査を進めた。また、研究協力者等と打ち合わせを実施し、データの収集及びデータシステムの構築、論文執筆に向けて準備を進めた。
3: やや遅れている
新型コロナウイルス及び所属先機関の変更により縦断調査に若干の遅れが生じている。
今後の研究の推進方策として、引き続き研究協力者等と綿密に連絡及び打ち合わせを行い、縦断データの収集等を継続して実施する。また、収集したデータや予後に関するデータを解析できるようにシステムを構築し、解析に向けて準備を進める。データ収集やシステム構築が終了次第、解析を進め、高齢ドライバーの交通事故の発生数、交通事故発生リスク要因の検討、中止理由が予後に及ぼす影響に関しての検証を行う。並行して研究協力者と論文の執筆を進め、論文投稿に向けて準備を行う。
参加を予定していた学会がweb開催となったことや新型コロナウイルスの影響で、次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は、研究協力者との綿密な連携を行うための費用や縦断調査、論文の投稿に充当する。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Geriatrics & Gerontology International
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