研究課題
高齢者の交通事故対策として、運転を中止すべき高齢ドライバーなのか、継続すべき高齢ドライバーなのかの基準を制定するために、交通事故発生のリスク要因を抽出することが重要である。また、運転をやめた後の健康維持に向けた支援策を検討するために、やめた理由によるその後の差異を検討する必要がある。そこで、本研究は、高齢ドライバーを対象に縦断調査を実施し、交通事故発生リスク要因ならびにやめた理由とその後の予後の差異を明らかにすることを目的とする。2023年度は、昨年度に引き続き高齢ドライバーの運転状況等に関する追跡調査やデータ解析を行った。追跡調査を行った対象者を、アンケートにより運転を継続していた群(継続群)と運転をやめた群(中止群)の群分けを行った。またやめた理由によるその後の差異に関しては、要介護認定の状況を聴取した。継続群を対象に、追跡調査中の事故の有無に対して関連する要因を検討した結果、転倒歴、現在の運転時間、認知障害、過去2年間の事故の有無が抽出された。継続群と中止群で要介護認定の発生状況を比較したところ、中止群で有意に多い結果となった。中止群を対象に、運転をやめた理由を調査した結果、家族に勧められたが最も多かった。また、運転をやめた理由ごとに要介護発生率を比較したところ、家族に勧められた、病気の発症・悪化で発生率が高かった。以上のことより、事故に関連する要因を今後スクリーニングして事故を予防するとともに、運転をやめても要介護状態にならないように、理由に応じた対策を行っていく必要があると考えられる。
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Geriatrics & Gerontology International
巻: 23 ページ: 771~778
10.1111/ggi.14702