研究課題/領域番号 |
20K18952
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
中田 佳世 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, がん対策センター政策情報部副部長 (50468279)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 小児がん / AYA世代のがん / がん対策 / 国際比較 / 生存率 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、既存の統計データ、これから収集するアンケート調査結果を分析し、小児・AYA世代のがん医療の実態を把握するとともに、国や地域で行われる医療政策を継続的に評価するベンチマーク指標を作成することである。小児・AYA世代のがん医療の評価のために、3つの課題に取り組む。2年目である2021年度は、昨年度作成したデータ取得のための申請書、収集項目の選定を用いてデータを申請・取得し、解析を進めた。 <2021年度> ①全国がん登録データを用いた、小児・AYA世代のがんの地域別罹患率、生存率の分析:国立がん研究センターの研究者と共同でデータ利用申請し、データを取得した。AYA世代のがんについて、全国がん登録および地域がん登録データを分析し、罹患数・罹患率・がん種別罹患数・がん種別5年生存率を算出して考察し、論文投稿し、受理・公表された。 ②小児がんのステージ・治療・再発に関する実態調査とその国際比較:大阪府、東京都内の小児がん診療施設2施設に対し、研究参加協力依頼を行い、合計11病院より参加の回答が得られた。9施設から約1500例のデータを収集した。また、欧州で行われている同様の調査研究BENCHISTAstudyのWeb会議にも出席し、意見交換した。 ③小児・AYA世代のがん患者のニーズ調査:大阪府の小児がん患者家族ニーズ調査を継続実施し、報告書をまとめ、各医療機関にフィードバックした。同調査を近畿ブロックにも広げるべく、研究参加医療機関を募り、準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画で設定した、3つの課題について、それぞれ概ね予定通り進捗することができている。①全国がん登録・地域がん登録のデータを分析し、AYA世代の罹患数・罹患率・がん種別罹患数・がん種別5年生存率を算出した。今年度はAYA世代のみの解析にとどまったため、次年度、小児も含め、解析を進める。②小児がんのステージ・治療・再発に関する実態調査とその国際比較については、昨年度、8施設のデータに基づきがん種別3年生存率を算出し、神経芽腫、横紋筋肉腫、Ewing肉腫などの固形腫瘍において、ステージ4など転移を伴う場合の無再発生存率が悪いことが明らかとなった。今年度は2施設に協力依頼を行い、合計9施設からデータを収集した。③小児・AYA世代のがん患者のニーズ調査について、今年度予定していたAYA世代のニーズ調査は昨年度に終了している。大阪府における小児がん家族のニーズ調査については、昨年度から継続して行っており、今年度の結果を医療機関へフィードバックした。また来年度、近畿ブロックに調査範囲を広げることとなり、準備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、①小児(0-14歳)、AYA世代(15-39歳)の別に、統計ソフトを用いて、各がんの種類ごとの年齢調整罹患率、年間平均罹患数、年代、がん種別拠点病院のカバー割合などを算出し、英文雑誌に投稿する。②データが得られた9病院のデータから、がん種別のステージ分布、3年無再発生存率を算出する。国際比較を行うために、匿名化したデータを海外に提供する準備を進める。③近畿ブロックの小児がん拠点病院および連携病院で治療中の小児300人の保護者を対象とした患者家族ニーズ調査を実施する。2023年度は、①②とも、集計結果を英文雑誌または学術集会で発表する。③ニーズ調査の結果を医療機関別に集計し、フィードバックする。3つのテーマの分析結果をもとに、小児・AYA世代のがん医療のベンチマーク指標と具体的な数値目標を提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に引き続き、新型コロナ感染流行の影響により、参加を予定していた学会がオンライン開催や中止となり、旅費の支出がなくなったため次年度使用額が生じた。未使用金については、次年度、現地開催する学会参加のための旅費や論文掲載料として使用する。
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