研究課題/領域番号 |
20K18957
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡田 啓 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (70847574)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 糖尿病 / 受診中断 / 臨床疫学 / 医療政策 |
研究実績の概要 |
研究代表者は、今回の研究テーマである、「糖尿病受診中断の予測因子探索と政策提言」について1本の学術論文を国際誌で公表した。内容としては、健診で糖尿病の診断基準を満たす採血だった成人を対象として、受診勧奨後、受診した患者を対象にした。本研究では、受診後すぐに、栄養食事療法または眼科受診をした群と、そうでない群に分けて、それぞれの交絡因子を傾向スコアを用いた逆確率重み付け法にて調整し、栄養食事療法または眼科受診がその後の受診中断に及ぼす影響を評価した。診療報酬のデータベースを用いた理由としては、病院コホートでは、参加同意の際に脱落しにくい人が集まる選択バイアスや、転医のフォローが出来ない脱落のバイアスを避けるためである。さらに、バイアスを調整するために、逆確率重み付け法を用いたcensoring weightを用いて、保険離脱の患者への重みも考慮した。欠測に関しては、多重代入法を用いて対処した。 結果としては、栄養食事療法または眼科受診群の方が、受診中断した患者の割合が低く、受診中断を減らす可能性を示唆した。副次的な解析として、栄養食事療法と、眼科受診のどちらがより効いているかを検証した結果として、栄養食事療法が受診中断を減らす可能性が高いことが分かった。 本研究の新規性は、レセプト情報を用いたこと、非常に大規模な参加人数であること、バイアス調整を様々な方法(多重代入法、傾向スコア、逆確率重み付け法、censoring weight)で行っていること、である。この新規性のみならず、社会への還元可能性も大いにあると考える。例えば、本研究結果により、今後、栄養食事療法がより重視される可能性があり、そのエビデンスとしての本研究は、医療従事者のみならず、患者へのサポートにもなると考えられる。 上記の研究成果はアジア糖尿病学会誌「Journal of Diabetes Investigation」に掲載され、公表されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は「新規受診糖尿病患者における早期ガイドライン遵守治療が及ぼす受診中断への影響」に関連して、国際誌に掲載された。これにより、「糖尿病受診中断の予測因子探索と政策提言」を行う基盤を作ることができ、本研究はおおむね順調に進行していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、新たに利用可能となったデータベースにも活用して、「糖尿病受診中断の予測因子探索と政策提言」に関して、最新の解析手法、機械学習を適宜用いながら、社会に還元出来る具体的でわかりやすい予測因子の発見と政策提言に役立てていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究で用いる解析用の高性能コンピュータを他の研究者と共用したため、その費用が一時的にかからなくなったため。 次年度は、コンピュータなどの費用がかかることを想定している。購入可能な範囲でデータベースも購入予定である。
|