糖尿病の重症化予防支援策として、健診で指摘された後に受診行動を起こすかどうか、受診行動を起こしたあとに、受診継続するかどうかについて、様々な角度から検討を行った。 初年度は、今回の研究テーマである、「糖尿病受診中断の予測因子探索と政策提言」に関して、ガイドラインでの推奨治療が受診中断を減らし得るかを検討した。市販のレセプトデータベースを用い、健診で糖尿病の診断基準を満たす採血だった成人で受診した人を対象とした。それぞれの交絡因子を傾向スコアを用いた逆確率重み付け法にて調整し、結果としてはガイドラインでの推奨治療を受けた群の方がその後の受診中断が少ないという結果だった。この研究成果はアジア糖尿病学会誌「Journal of Diabetes Investigation」に掲載され、公表されている。 第2年度・最終年度は、糖尿病の診断基準を初めて健診で満たした人が受診勧奨後に受診するかどうかを予測するモデル構築を試みた。機械学習としては、精度よりも推論を重視したラッソ回帰モデルを用いた。13 個の因子を含む既存の予測モデルを対照としてLasso 回帰で選ばれた予測因子は、(1)過去12ヶ月の受診頻度、(2)HbA1c 値、(3)脂質異常症薬処方、(4)降圧薬処方であり、この4つで予測したモデルの方が予測性能が高かった。 研究成果はアメリカ糖尿病学会誌「Diabetes Care」に掲載された。
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