研究課題/領域番号 |
20K18965
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
綾仁 信貴 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (90777939)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 院内暴力 / 粗暴行為 / 違反行為 / 精神科 / 医療安全 |
研究実績の概要 |
本研究の令和3年度は、年度初めより新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の影響にてカルテ調査のための施設訪問が出来ず、以後も予定した訪問がキャンセルとなることが相次いだ。COVID-19の影響による研究遅滞軽減のため、比較的影響を受けにくい近隣の医療機関を研究協力施設として加えるべくIRBに審査依頼を出してたが、05月27日に承認あり。研究協力施設は3施設(789床)となった。研究協力施設勤務の研究協力者によるカルテ調査とWebミーティングを重ね、また11月から12月にかけては本研究申請者の訪問によるカルテ調査も複数回行うことで、調査対象者の患者背景情報の収集と、カルテレビューによる粗暴行為や違反行為の情報収集を行いながら、調査フォームの修正を継続的に行った。2022年01月の時点で、最終的な調査対象者を「2018年01月01日から2018年06月30日に研究協力施設の精神科に入院した全入院患者549名」と定め、研究プロトコルと対象者の背景情報概要、およびカルテレビューを行った13名分の結果をまとめ、2022年10月17日から20日にかけブリスベンで開催される38th ISQua’s International Conferenceに演題登録を行った。本演題では2021年06月30日までに退院した515名(45556人日)の年齢、性別、主病名内訳等の情報に加え、カルテレビューを行った13名中6名(46%)に22件の粗暴行為,5名(38%)に8件の違反行為が確認されたことを示した(crude rate: 169 and 62 per 100 patients; incidence: 26 and 10 per 1000 patient-days, respectively)。以後もCOVID-19の影響を受けつつも、カルテレビューとデータ収集を継続して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年03月以降の新型コロナウイルス感染症蔓延の影響により、2021年04月以降も研究協力施設への訪問と現地での調査の計画が度々キャンセルとなり、データの収集作業に遅れが生じているため。
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今後の研究の推進方策 |
調査対象施設として、比較的影響を受けにくい近隣の医療機関を研究協力施設として加えることで、COVID-19の影響があっても、ある程度安定的にデータ収集作業を行っていく。また他の2つの研究協力施設においても、当該施設に勤務する医師である研究協力者の協力を得つつ、継続してデータの収集を行う。現地でのデータ収集作業を加速化させるために、既に作成している調査用マニュアルをより実用的で利便性の高いものに改訂しつつ、現地の研究協力者のリクルートを行う。2022年02月17日に演題登録を行った38th ISQua’s International Conferenceの抄録はその後05月06日に採択され、10月19日にポスター発表を行う予定である。2022年度中に全調査対象者の半数程度のデータ収集作業を完了させ、本研究助成の最終年である2023年度半ばでのデータ収集を完了し、2023年度内にデータ解析と論文化を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年03月以降の新型コロナウイルス感染症蔓延の影響により、研究協力施設への訪問と現地での調査を行うことが困難となったことから、現地への訪問にかかると考えていた旅費や、また現地での調査のために研究補助員に支払う謝金を使用することができなかった。また同様に研究ミーティングのために必要な旅費についても使用できず、参加予定の学会が開催されない、あるいはリモートでの開催となるなどの影響もあり、予定していた費用を使用することができなかった。その一方で物品費については、研究協力施設で勤務する研究協力者が単独で調査を行う機会が予想よりも多くなり、その作業を円滑にするための物品が予想よりも多く必要となったため、予定していた費用を超えて支出することとなっている。次年度以降に全国の感染状況が落ち着き、現地調査が可能となり、また現地での学会が行われるようになれば、当初予定していた旅費や謝金を使用する予定である。
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