研究課題/領域番号 |
20K18968
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
遠藤 源樹 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60739209)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 就労 / 統合失調症 |
研究実績の概要 |
「統合失調症と就労」に関する職域コホート研究はわが国では皆無であり、統合失調症患者の病休日数、復職率、5年勤務継続率等、就労に関するエビデンスが無いのが現状である。本研究の目的は、研究申請者の遠藤が管理する日本で唯一の大規模職域データベース(先行研究として「うつ病と就労」「がんと就労」「脳卒中と就労」「心血管疾患と就労」の疫学研究を既に実施)を活用して、統合失調症患者の就労継続と復職支援に資するエビデンスを集積し、よりハイインパクトな学術誌に投稿することである。 研究は2年計画とする。研究①約7万人の大企業正社員の22年間の病休復職コホート・データベースであるJ-SAR(Japan-Sickness Absence and Returnto work)スタディを活用して、統合失調症患者の大規模病休・復職コホート研究等を実施し、研究②精神疾患別の就労実態調査を、約5万人の集団の個票にある精神疾患患者を対象に実施する。就労実態調査票により、統合失調症に伴う症状、不安・抑うつ・疲労・睡眠等の評価ツールと就労実態との関連を分析し、それぞれ学術誌に投稿する。これらのデータにより、統合失調症患者の病休制度・復職後時短制度等の検討資料等、政府の一億総活躍の最重要政策である働き方改革に寄与し得る、日本発の疫学的知見が得られ、社会にも還元することができる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は2本柱(①②)で、2年計画とする。 研究①は、統合失調症患者大規模病休・復職コホート研究(日本で唯一の大規模職域データベース)である。研究①は、研究①(病休コホート)、研究②(復職後コホート)の2つに分けられ、後ろ向きコホート研究に関するデータを収集した。 研究①(病休コホート)の対象者は、約7万人の労働者の病休・復職データベース等を用いて、1990年1月1日から2011年12月31日までの22年間に、新規に主治医の「療養が必要」と記載された診断書にて統合失調症による病休を取得した労働者である。研究①の病休コホートのアウトカム(評価指標)は、対象となる統合失調症患者の病休開始日から365日内の転帰(退職・死亡・病休継続・フルタイム勤務で復職・短時間勤務で復職)と、年齢、性別、地域等の基礎情報、職種、管理職の有無の職域の因子、健康診断結果等を共変量として、現在、競合リスクを加味した生存時間解析で復職率や退職率等について解析を進めている。 研究②(復職後コホート)の対象者は、研究①で復職した全ての統合失調症患者である。研究の復職後コホートのアウトカム(評価指標)は、統合失調症患者の復職日から2012年12月31日のフォローアップ終了日までの転帰と、研究①と同様の共変量を用いて、競合リスクを加味した生存時間解析で勤務継続率、再病休率、依願退職率、死亡率(自殺を含む)等を算出し、現在、解析を進めている。研究①と研究②ともに、データ解析が終わり次第、英文原著論文として学術誌に投稿予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
「統合失調症と就労」に関する職域コホート研究はわが国では皆無であり、統合失調症患者の病休日数、復職率、5年勤務継続率等、就労に関するエビデンスが無いのが現状である。本研究の目的は、研究申請者の遠藤が管理する日本で唯一の大規模職域データベース(先行研究として「うつ病と就労」「がんと就労」「脳卒中と就労」「心血管疾患と就労」の疫学研究を既に実施)を活用して、統合失調症患者の就労継続と復職支援に資するエビデンスを集積し、よりハイインパクトな学術誌に投稿することである。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は主に人件費に費やす予定である。
|