研究課題/領域番号 |
20K18970
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
宮脇 梨奈 明治大学, 文学部, 専任講師 (80749028)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ヘルスコミュニケーション / がん予防 / マスメディア |
研究実績の概要 |
本研究では、がん予防の普及・啓発を推進するために、主ながん情報源であるマスメディアが、効果的にがん予防情報を発信するための戦略を構築することを目的としている。 2年目である令和3年度は、がん予防情報の効果的な発信時期と発信すべき内容について検討した。発信時期「いつ」を検討するために、Google Trendを用いて、20年間における胃・肺・大腸・乳・子宮頸がん5つの部位のがんに関するWeb探索行動を分析し、がんへの関心が高まった時期を特定した。具体的にどのような出来事がんへの関心を高めたかは、Google Trendにて特定された時期の前後の新聞記事に掲載されたがん情報を収集し、具体的にどのようなイベント(出来事・報道)ががんへの関心を高めたか調査を開始し継続中である。また、発信すべき内容「何を」を検討するために、がんイベント情報が国民に与える影響を調査した。具体的には、Google Trendにて直近1年間におけるWeb探索行動を分析すると同時に、Webアンケート調査にて、どのような時にがん情報を探したか、情報取得が、がんに対する認識、がん予防知識・行動にどのような影響を与えたのかを検討した。この検討をするにあたって、重要な関連要因のひとつとなっていると考えられるデジタル・ヘルスリテラシーの測定や調整が必要だと判断した。しかし、日本語版のデジタル・ヘルスリテラシー尺度がなかったことから、原版作成者に了承を得た上で、日本語版デジタル・ヘルスリタラシー尺度(Digital Health Literacy Instrument:DHLI)の尺度開発も行った。副次的な研究となるが、近年、マスメディアとの連動も多く、また本研究での調査手段として用いることからインターネットとソーシャルメディアの現状を把握しておくために、コロナ禍におけるインフォデミックについてもまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1年目に予定していた研究手法の調整等による研究の遅れが2年目にも影響した。そのため、2年目は、1年目に予定していた調査、分析を行った上で、2年目に予定していた調査、分析を進めた。結果として、2年目は調査や分析が主となり成果発表まで至らなかった。3年目は、予定している研究計画と平行して、2年目までに予定していた調査、分析を完了させ成果発表を行っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2年目までに完了できず継続中である過去20年間において胃・肺・大腸・乳・子宮頸がん5つの部位のがんに関心が高まった時期前後の新聞記事に掲載されたがん情報の収集を完了させ、具体的にどのようなイベント(出来事・報道)ががんへの関心を高めたかを特定する。また、Webアンケート調査により集めた回答データの解析およびそれと直近1年間の情報探索行動との関連を検討し、今後、発信が必要または発信を増やすべき内容の特定や、どのように発信していくことが効果的であるかを検討する。また、得られた知見を、効果的にがん予防情報を発信するための戦略構築につなげるために、実際に情報を発信するマスメディアの記者に対して、その結果に対する意見、感想、がんイベント時のがん予防情報の発信の可否、また記者が情報発信する際に必要だと感じる知識・情報についてインタビュー調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
・調査、分析の遅れにより学会での発表準備が整わなかったことや、新型コロナウィルス感染症拡大に伴い、学会がオンラインで行われることが多かった。そのため、学会に伴う出張費用の使用がなく、参加費用の使用も少なかった。感染状況をみながら、令和4年度の調査出張や学会出張等の研究活動に充当する。 ・同様に調査や分析の遅れにより、論文化にも遅れが生じている。それに伴い、論文化に必要な英語論文校正費や論文投稿費を使用しなかった。論文化に伴う費用は、予定していた論文を令和4年度に投稿する際に使用する。 ・データ整理などの研究補助者の雇用も難しかった。令和4年度は、感染状況をみながら遠隔での作業も含め、研究補助者によるデータ整理を依頼するため、その人件費に充当する。
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