マスメディアを活用した効果的ながん予防情報の普及戦略を構築するため、いつ、何を、どのように情報発信することが効果的であるか検討した。 予防情報の取得は少なく、がんへの関心が高まる時期に発信できるよう「いつ」関心が高まるのか、過去20年間を対象にGoogle Trendにて特定し、その時期の新聞を確認した。その結果、主に著名人の罹患・訃報、社会問題、新薬開発、法改正が関心を高めていた。しかしインターネットの普及により、それ以外や、理由が特定できない場合も散見された。関心事に合わせ、迅速に予防情報も発信できるようマスメディアや公的機関や専門家が基本情報や効果的なメッセージを用意しておくことが期待される。 「何を」は、Twitter分析を試みたが、行動制限等コロナ禍の影響も大きく予防行動の検討は難しかったため、コロナ5類移行後、影響を受けた乳がん検診に焦点を当て検討した。一般女性の受診経験や痛みに関する内容が多く、公的機関や専門家、対象年齢や受診間隔の発信は僅かであった。痛みだけが強調され受診動機付けが下がらぬよう、公的機関や専門家が推奨基準、検査方法、痛み詳細、恩恵等を繰り返し発信する必要もある。 「どのように」は、コロナ禍でのインフォデミックを概観し、今後の情報の在り方を検討した。マスメディアやプラットフォームとの連携、適切な情報発信源の整備とソーシャルメディアの連動による迅速な情報発信が重要となると考えられた。受信側の状況把握のためのアンケート調査にて、各マスメディアががん情報源であり、情報源への信頼には主にその情報源への曝露の高低と関連することを確認した。またインターネット情報の利活用に必要なデジタルヘルスリテラシーの評価尺度を開発し、強化が必要な対象者やスキルを特定した。様々なマスメディアを、またクロスさせ活用すること、受信側のDHLに配慮した情報発信とすることが重要である。
|