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2020 年度 実施状況報告書

メソミルの血液中特異的死後分解-分解因子の特定及び中毒マーカーの探索

研究課題

研究課題/領域番号 20K18978
研究機関千葉大学

研究代表者

山岸 由和  千葉大学, 大学院医学研究院, 特任研究員 (50834470)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードメソミル / 死後分解 / バイオマーカー / ヘモグロビン / アミノ酸付加体 / W-adduct
研究実績の概要

メソミルはカーバメート系の殺虫剤であり、法医学分野では偶発的な暴露や自殺を目的とした多量服薬事例で検出される。そのため、血液中の本農薬の定性及び定量検査は死因究明を行う上で重要である。しかしながら、これまでに血液中のメソミルの検出が困難であると報告されている。実際、当研究室においてもメソミル中毒死を疑われたが血液からのみメソミルを検出できず、死因究明に苦慮した事例を多数経験した。よって、メソミルの血液中特異的分解機構を明らかにすることはより正確な死因究明を行う上で重要であると考えられる。本研究ではメソミルの血液中死後分解因子を特定し、特定した分解因子を用いてメソミルの分解メカニズムを明らかにすることで、死後血におけるメソミル濃度評価法を確立することを目的とする。本年度では血液画分を用いたメソミルの血液中死後分解因子の特定、ヘモグロビン(Hb)によるメソミルの分解メカニズムの評価、メソミルのHb中アミノ酸付加体形成におけるメソミル濃度相関性の評価、ボランティアとメソミル中毒死者の血液中のW-adductの生成量の評価を実施した。結果、メソミルの血液中死後分解因子はヘモグロビンであった。分解メカニズムはアミノ酸付加体の形成で、カルバモイル化されたトリプトファン(W-adduct)、チロシン(Y-adduct)、バリン(V-adduct)の三種類のアミノ酸付加体を同定した。W-adductはメソミルを添加したHbから特異的に検出され、メソミル濃度依存的に生成量が増加することからメソミル中毒のバイオマーカーとして使えると考えられた。さらに、メソミル中毒死者の血液から特異的にW-adductは検出され、W-adductを基に算出したメソミル濃度は致死域として適当な濃度であった。これらのことよりW-adductは濃度算出のバイオマーカーとして使用できると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

LC-QTOF-MSを用いた差分解析を用いたことによりカルバモイル化されたトリプトファン(W-adduct)、チロシン(Y-adduct)、バリン(V-adduct)の三種類のアミノ酸付加体を同定できた。メソミル中毒及びメソミル濃度算出のバイオマーカー候補を決められたことによって計画以上の進捗を達成した。

今後の研究の推進方策

カーバメート系の殺虫剤は多くの種類があり、構造類似性が非常に高い。W-adductがメソミル中毒のバイオマーカーとして使用できることを見出したが、メソミルのみが特異的にHb中にアミノ酸付加体を形成しているか、もしくはほかのカーバメート系の殺虫剤もHb中に同様のアミノ酸付加体を形成するかは不明である。今後はメソミルをポジティブコントロールとしてオキシム基をもつほかのカーバメート系の殺虫剤等を用いてHbと相互作用しアミノ酸付加体を形成するかをLC-QTOF-MSで評価する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Post-Mortem Changes of Methomyl in Blood with Hemoglobin2021

    • 著者名/発表者名
      Yamagishi Yoshikazu、Iwase Hirotaro、Ogra Yasumitsu
    • 雑誌名

      Chemical Research in Toxicology

      巻: 34 ページ: 161~168

    • DOI

      10.1021/acs.chemrestox.0c00472

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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